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Lawless Darkness / WATAIN
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2010-07-13 14:26:00)
2010年発表の4th。
Terrorizer誌で満点を獲得するなど、既にプレスからは非常に高い評価を得てますね。発売前のリスニングパーティでは、雑誌記者に杯に入った血を飲ませようとしたとか(笑)。

前作と比べると少し音質のシャリシャリ感が強くなってますが、作風に大きな変化はありませんね。相変わらず真性ブラックの邪悪さ、メロブラの甘美さ、ファストブラックの攻撃性を兼ね備えたような、エクストリームメタルとしての質の高さと、ブラックの真髄を聴かせる事を見事に両立させた作風。この手のブラックではONDSKAPTやOFERMOD、AZAGHALなども非常に良質な作品をリリースしてますが、これを聴いて、WATAINは一段上の高みにいるな…と思いました。

個人的に、凄みを感じる理由としてはアンサンブル、特にドラムが素晴らしいからだと思うんですよね…時にファストブラック以上のテンションで畳み掛け、時にプリブラ以上の陶酔感を生み出し…それらを、ヴォーカルラインやリフ捌きとしっかり連動させているのが凄い。空気を読みつつも場を支配している、みたいな感じ。このアンサンブルのお蔭で、ある意味躍動感のある音像に仕上がってるんですが…その躍動感が、「得体の知れない暗黒が脈動する感じ」にまで繋がっていると思います。

ヴォーカルのドスの効いたがなり声、長丁場もダレさせずに聴かせるインテンスなリフ捌き、毒々しさや邪悪さに甘美さも混じった漆黒のメロディなど、前作からの美点もしっかり引き継ぎつつ、DISSECTIONの「ReinkaΩs」にも通じるどす黒い躍動感を、メロデスに接近する事無く取り入れたような作風だと思う。

演奏時間は80分(ボートラのDEATH SSカヴァー含む)と長いですが…集中して聴くとあっという間。嘘だと思うなら、是非腰を据えて聴いてみてください。ここまで緊張感ある80分はなかなか無いですよ。もしかしたら、2000年以降のブラックメタルでは、FUNERAL MISTの「Salvation」と並ぶ、クラシックな名盤と言える作品になるかもしれません。前評判の高さは伊達じゃないですよ。

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