この曲を聴け!
VAN HALEN
H・W ★★ (2002-08-16 21:23:00)
ゲイリー・シェローンは「まじめに頑張る地味な奴」だった。
EXTREME時代からそうだったはずだ。
だから、パフォーマンスだけをみたとき、当代随一のエンターテイナーであるダイヤモンド・デイヴや、アメリカを代表する豪快なロッカー、サミー・ヘイガーと比べて分が悪い事など、判りきっていた事なのである。
ゲイリー加入をプラス方向に転じさせるなら、その唯一のキーワードは、「バンドの若返り」ではなかったか。
燃え盛るようなエネルギーを取り戻し、もう一度「ヴァン・ヘイレンのドライヴィング・ロック」を聴かせてくれれば良かったのに。チャンスだったのだ、ある意味。
だから、「Ⅲ」がなぜあれほど地味な仕上がりだったのか、未だに判らない。
前作の延長線上にありながら、さらにアダルト・オリエンテッドだった「Ⅲ」の作風は、ゲイリーに「サミーの代役」となることを強いているようにも思える。こうなると、いくらゲイリーが踏ん張った所で、ネガばかりが目立っても仕方あるまい。
だから彼がバンドを去ることになっても、驚く事ではなかった。
「世界最高の奇術師と、最高のエンターテイナーによる、素晴らしいパーティーバンド」から、「熟練したミュージシャン達による、最高の楽曲指向バンド」へと華麗なる転身を遂げた前回のようなマジックは、残念ながら起こらなかったのである。
しかし、「Ⅲ」におけるゲイリーの仕事振りは、「立派に代役をこなした」ということは出来なくもない。歌唱力なら、少なくともサミー並みに歌えることは証明していた。
気の利いた小技をいくつも連携させて生み出されるエディー独特のグルーヴは、凄まじく深みを増しており、地味ながら味わい深いアルバムであるといえよう。
特に「ONCE」は名曲だった。
さて、
これからの彼らの動きに注目だ。彼らがなにを選択するのか、興味は尽きない。
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