この曲を聴け! 

志方あきこ
せゃあが ★★ (2009-03-31 03:28:00)
今回のコンサートはニューアルバム"Harmonia"のコンセプトに則り、地水風火のそれぞれの要素に物語を紡ぎその物語の上に名曲たちを充てて世界を築いてゆく——という壮大な試みの中で行なわれたものでした。
公演のパンフレットにそれぞれの要素における物語が書かれており(執筆は篠田朋子さん……インディーズのころからのパートナーさんがこういった形で関わっていることを知り、とても嬉しく思いました)、今私はそれを読みつつ余韻に耽っているところです。
サウンド面ではヴァイオリン、ギター、キーボード、パーカッション、ベースに演奏者を迎え、多重録音されたコーラスなど生で再現できない部分は専属のマニピュレータさんがステージ上に居てサンプリングされたものを操る、という形式。これにより、志方さんの持つ音楽の魅力を余すことなく舞台の上で表現することに成功している、と言えました。
ただ……贅沢というか完璧に的外れなことを言うと、ところどころではライヴらしくコーラスを消して生の歌声だけで聴かせて欲しかったなと感じるところも若干在りました。が、些細勝つ余計な事。
演奏者陣は皆さん凄腕揃いで、特にヴァイオリンの方の獅子奮迅振りが見事でした。"Amnesia"の笛パートを再現したり、『ロマの娘』のラストのソロを弾ききったり……。
さすがにアンコールでの演奏者コメントでは「志方さんの曲はヴァイオリンが難しい曲揃いで大変でした……」と語っておられました(笑)。
志方さんの歌唱に関しては何も言うことはありません。唯浸るのみです。『晴れすぎた空の下で』の飲み屋の女将声や「コワレロ!」など声色を使う部分も完璧に歌いきっており、何よりその歌い回しの節々から歌唱力の高さ以上の何かを感じずに入られませんでした(流石に『金環蝕』のラストや『ロマの娘』中間部のスキャットは再現不可能な様子でしたが)。
ただ、パフォーマンスについてだけはさすがに場慣れしていないため、曲間のMCが一切無く(公演コンセプトである『物語性』を重視するため、ということもあったのでしょうが)、さらには本編終了後のメンバー紹介でバンマスであるベーシストさんの紹介を度忘れしたまますっ飛ばして大慌てしたり(笑)、今後の課題でしょうか。
……と努めて冷静に?語ってきましたが、私自身は『EXEC_CHRONICLE_KEY/.』冒頭で胸にグッと来てその直後まさかの"Amnesia"(登場早いですよぅ……)であっけなく涙腺崩壊の憂き目を見ていたり、次のメタファリカで少し持ち直したものの『まほろば』で再び号泣してしまってとてもとても冷静なんて言葉とは遠くかけ離れた状態に……。
その後も『追想花』で涙ぐみ、更には第二部でも『ロマの娘』が演奏されたところで積年の想いに胸が詰まり、しかもその後に『うたかたの花』と来た日にはもう……(涙)。
そして怒涛の火の章でその恐ろしいまでの世界観に圧倒され、『謳う丘』や『廃墟と楽園』をも押しのけて演奏された信じ難き『ee wassa sos yehar』=『コワレロ!!』で完膚なきまでに叩きのめされ、アンコールにまさかの『EXEC_PAJA』!!が謳われるに至って最早この世に未練無し、とまでに満足していたのでありました。
こうしてレビューを書きながらも志方さんの曲を聴いていますが——ここまで来るともう表現する言葉すら思いつきません。
まさに、一片の奇跡のような物語の夜。
我がささやかな一生に措いて、間違い無く最高の夜の一つに数えられるでしょう。
ここまでお読み下さり有難うございましたー。
まだまだ書きたいことは溢れているけれど、密やかな思い出としてしまっておくことにします。
あの物語を体験できた奇跡をカリオペの女神に感謝しつつ、筆を置きます。
*追記。
今回のコンサートのパンフレットは通信販売の予定があるようです。
志方さんの音楽に思い入れのある方でしたら必ず楽しめるものとなっていることを保証します。コンサートのムービーに使われた小曲3曲を収録したCD付きです。
……と、回し者のように終わってみる(笑)。
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