この曲を聴け! 

Nothin' But Trouble / BLUE MURDER
レナリス ★★ (2005-02-27 02:02:00)
まず本作のアレンジですが、これについては1stに引き続きサイクス節が炸裂しており、非常に良かったです。
↑でメタラァさんも少し書いておられる通り、今回のアルバムはアメリカの香りがすると、自分も思いました。
しかし、ヘヴィでディープなギターや編曲はやはりイギリスそのもので、彼ら独自の世界を感じる事ができました。
一方メロディですが、こちらは前作に比べると圧倒的にキャッチーになったと思います。
キャッチーな音楽は耳障りも良く、取っ付きやすい。
これは長所だとも言えるし、個人的にもメロディアスで聴きやすい曲は好みでもあります。
ただ、今回のアルバムを聴いて「ICHYCOO PARK」・「DANCE」・「SAVE MY LOVE」辺りはとても佳曲でありながら「これは本当に純粋にあなたの中から生まれたメロですか?本当にやりたかった音楽ですか?」と思ってしまったのも事実です。
サイクスはとても才能があり、色んなタイプの曲が書ける事もわかるつもりですが、そこを踏まえた上でも…「本来こういう音、作る人かなあ?」という感じがする。
どこかから影響を受けたか、どこかに影響を及ぼしたかったのか…。
どちらにせよ決して悪い事ではないし、構わないのだけれど。
「SAVE MY LOVE」はとても大好きな歌です。
これはやっぱり…サイクスの歌唱とギターはもちろん、メロディが良過ぎる!
でも、良く聴くとこれ、ロックのメロディとは系統が違う感じです。
どちらかというと黒人音楽でよく耳にするタイプの音だと思います。
そうであってもドラマティックな曲を大好きなサイクスが、ロックな声で完璧に歌い上げてくれているのだから、やはり「いいものだなあ」と思って聴いてしまいますが、「らしくない」感じはちょっとする…。シビアな意見だけれど。
2ndは楽曲がとても美しく、受け入れやすく、そういう意味で好きなアルバムでした。この特徴は1stにはなかったものだと思う。
ただ、系統の違うアルバムだから2枚を比べるのは難しいけれど、「どちらか1枚選べ」と言われたら、個人的には1stを取るでしょう。
1stは大衆に理解されるタイプではなかったと思う。
でも見方を変えれば、本当に自分達がやりたい音楽を徹底的にやったアルバムだった。
全曲に渡って、とても衝撃を受けました。
「これがサイクスの音楽か…」と思った。
「これはちょっと…サイクスにしか作れないメロディラインであり、アレンジだな。右に出る者はいないよ。こんなの聴いた事ない」…そういう感想を持ちました。
一方2ndはキャッチーである。
キャッチーであるという事は万人受けしやすい性質を持っており、それは言い換えれば「無難」でもある。
「どこかにありそうだなあ」という音(メロ)でもある。
1stは「サイクスにしかできない音作り」があふれており、聴けば聴くほど味が出るような深みがあり、それがつまり「彼自身」だった。
「なるほど、この人があの名盤「サーペンス・アルバス」を作ったのか。わかるなあ」としみじみ思いながら聴いていました。
2ndは1stの売れ行きを見て、方向性を検討したのかな。
もし「サイクスを知りたい」という人がいたら個人的には2ndを推すのはちょっと弱いかなあという気がするのです。
でも決して2ndが駄作と言っているのではないし、彼らが間違ったわけでもない。
あくまで好みの範囲の話です。
BLUE MURDERランキングで1位の「WE ALL FALL DOWN」はやはり名曲で大好きだし、あと
「CRY FOR LOVE」・「RUN AWAY」・サイクスの歌ではないが「I'M ON FIRE」はメチャクチャかっこ良くて好きです。
キャッチーと言う意味では、2ndよりWSの「サーペンス」の方が上に行くけど1stは…こういう系統ではちょっと横に並ぶアルバムが他にないぐらい良過ぎた。
アーティストの曲において自分が本当にすごいなあと感じる曲っていうのは、キャッチーである事よりも「この音はこの人にしか作れない」というメロだったりアレンジだったりするので…。
双方名アルバムで好きだけど「良さの系統」が違うかな。

→同意