この曲を聴け! 

Vital Signs / SURVIVOR
たつ ★★ (2003-04-26 21:24:00)
最近企画もので80年代の有名曲が収録されたCDが数多く発売されているようだが、シングルヒットを数多く輩出したにもかかわらずVital Signsの曲をほとんど見たことがない。
本当にもったいないと言うか、知らない人は可哀想だと思ってしまうほど、歴史的名盤の一つであるのだ。
本作は、収録されたシングルが次々にヒットするのと平行してLPチャートを上昇していき、最高位16位をマークしたところでゆっくり下降していってしまったが、注目してほしいのは年間総合チャートだ。
発売レコード会社は弱小レーベル(失礼)Scotti Brosであり大手と比べるとたいしたプロモーション活動も出来なかったと思料されるが、Vital Signsと同時期に発売され2位を記録したホイットニー・ヒューストン、1位を記録したダイア・ストレーツらのLPを軽く引き離し、第15位という高位置に君臨したのである。
私はまず本作より次々に飛び出すシングルに完全に聴惚れてしまった。そして、アルバム全体を通して聴くとどの曲もヒットするポテンシャルを持っていることに気づいた。それでいて、アルバムは曲全体を包み込むムードで統一感を保っている。
これも収録曲の順番まで決めたというロン・ネヴィソンの尽力によるところが大であろうが、聴いているとメンバーのこれ以上の商業的失敗は許されなという切実な雰囲気もさることながら、今はいい音楽を聴かせたい、いい音楽がやりたくて仕方ないんだという真摯な気持ちが伝わってくるような気がするのである。カヴァージャケットもなかなかかっこよい。
とにかくチャートの動向を基礎としてロックを主観客観的に分析するのが好きだった私は当時、もしVital Signsを超すアルバムが現れるとすれば、それはSurvivorの次作品であろうと思った。折からサントラ「ロッキー4」からバーニング・ハートが大ヒットし、次LPの商業的成功の路線は完璧に敷かれていた。そして86年11月、待望の最新作When Seconds Countが発表された・・・・。
→同意