この曲を聴け! 

Vital Signs / SURVIVOR
火薬バカ一代 ★★ (2010-02-26 23:54:00)
巨費を投じて作り上げた4th『CAUGHT IN THE GAME』がまさかの大コケ、しかもデイヴ・ビックラー(Vo)まで健康上の
問題を理由に脱退・・・と、天国から地獄へ一気に転げ落ちたSURVIVORが、新Voとしてジミ・ジェイミソンを、
プロデューサーとして売れっ子ロン・ネヴィソンを迎え入れ、再浮上を賭けて作り上げた'85年発表の5thアルバム。
結果的に本作は4曲ものヒット・シングルを生み出し、アルバム自体もビルボード最高14位にランクイン、バンドに
プラチナ・ディスクをもたらす成功を収めたわけだが、正直、これ程の名盤ならもっと売れたって罰は当たらんぞ、と。
これまで以上にKeyサウンドを前面に押し出し、メロディのフックから、劇的な曲展開、サビのキャッチーさ、
華やかなコーラス・ワークの組み立てに至るまで、その構成要素一つ一つを丁寧に磨き上げ、徹底的な洗練を施した上で、
ジミ・ジェイミソンの伸びやか且つエモーショナルな歌声が乗っけられた収録曲の数々は、産業ロックの
一つの理想形とでも言うべき美しいシルエットを描き出し、JOURNEY、STYX、FOREIGNERといった同ジャンルの
先輩バンドが残した数多の名曲群と比べても、何ら遜色のない眩い輝きを放つ逸品ばかり。
鮮烈なポップセンスに彩られたOPナンバー①から、映画『ベストキッド』の主題歌として知られるラスト・ナンバー
⑩(日本盤のみ収録)まで全10曲、捨て曲がないのは勿論の事、全ての楽曲がシングル・カット可能なクオリティを
備えている本作だが、中でもSURVIVORのロック・サイドを代表する爽快感漲る③と、メロウ・サイドを代表する
感動的な名バラード④の連続攻撃には、メロディ愛好家ならグゥの音も出ない程に打ちのめされること請け合い。
SURVIVORの商業的代表作が『EYE OF THE TIGER』なら、質的な代表作は間違いなくコレ。君、聴かずに死にたもう事なかれ。

→同意