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LIVE IN MOSCOW 1990 / ASIA
うなぎ ★★ (2005-04-09 05:27:00)
リリース当時に購入し、「こりゃあかん」と思って手放してから早10年以上も経ってしまったここ最近、再び入手。
当時「こりゃあかん」と思った部分が鮮やかに甦る・・・。
収録曲良いし、たぶん演奏もオフィシャルリリースできるレベルなんだから他のライブと比較しても良い出来なんでしょう。
こと、JOHN WETTONは申し分ないと感じるし。きっちり歌えてる(ボリュームデカくない?)し、ベースも「こんなに弾きまくるんだ」と改めて思う箇所もあるくらい、更にはピアノ~アコギまでこなしてして、「この人はすごい」と改めて思うところ。
ところが・・・他の方(プレイヤーのみならず)はぶっちゃけ「?」が盛りだくさんです。
筆頭は、ギターのPAT THRALL。スタジオ盤で慣らされた耳にはちとつらい。「この瞬間に口ずさんでしまうほど聴こえてたフレーズ」という点で、STEIVE HOWEやMANDY MAYERがスタジオ盤で築いてきたフレーズの数々がことごとく無い。その結果、瞬間的に異常なくらいふっと厚みが無くなる。そりゃ、別人なんだから同じフレーズでなくてもよいけど、片鱗はおろか究極「何も弾いてない」というのはどうなんでしょ・・・? 前任者たちが何を築いてきて、聴衆がこのバンドのどこに惹かれたのか研究したんでしょうか。低音弦のバッキングスタイルではこのバンドの良さが出ませんわな。かろうじてMANDYもスタイル的には近いけど、スタジオ盤だったので感じることなく終わってしまいましたが。
PATが弾かないおかげで割り食ってるのがGEOFFREY DOWNES。ギターが弾かないおかげで、オルガンやピアノのバッキングだけになる瞬間が多く、かえって「おめーも弾いてねーのかよ」という印象になってしまう。しかもオルガン、深すぎてエッジが無いから、ベースの響きに負けてるし。相手が、「これでもか」と隙間を埋めてくるHOWEのようなギターでない分、頑張らなくてはならないのはアナタです。もっと相手を聴いて弾きましょう。隙間がたくさん空いてますよ。こういうのってリハで音回してりゃわかると思うけどねぇ・・・あれだけのスタジオ盤作った人間たちなんだから。
そしてトドメのCARL PALMER。この人の「ハシリ」っぷりは、かのCOZY POWELLと同じなわけですが、上の方もコメントされている通り、オーバーダブなどの加工をしていない分、「あーあ、間違えた」という部分がそのまま残ったりで、すごさよりも「そうでもないな」感が印象に残ってしまう。更に悪いことに、「ここで強めのアタックを」という部分で何も無かったり、フレーズが詰まったり。その辺はPATと同じ。ドラムソロを聴いて「あー、この人に普通の8ビートだけっつーのは厳しいな」と思ったり。手数足数的にはうまいんだから微妙。ちょっと粗すぎなプレイであることは否めない。
つーわけで、これを現地録りしたあとの作業をどうしたか知らないが、パンチインもしないでリリースできるほど本人たちが胸を張って「歴代でも最高のプレイだから」とリリースを認めるとはとうてい思いづらい出来ではないだろうか。MIXもかなりラフな気がするし。でもオフィシャルとしてワールドワイドリリースしている・・・ということは、策略以外の何者でもない・・・ということ? オーバーDUBしてMIXしてという手順をすっ飛ばしてでもリリースしたかった、したい人間がしたいようにした、ということか。ま、作業しない分「丸儲け」なのでね・・・。当時は「CRIMSONナンバー収録」というコピーで押していた記憶があるが・・・ポイントはそこしかないのかねぇ。
但し・・・ラストの「KARI-ANNE」は秀逸。これはPATがちゃんと参加して作ったのでしょう。今聴くとPATはフュージョン系のギタリストなのかしら、と思ってしまう毛色の違う音色ですが、それはそれで。
「ASIA」としては決して褒められた出来ではありません・・・ちとさびしいですが。彼らにYESやCRIMSONほどの「勤勉さ」があれば、間違いなく今でも活動し、「大御所」として君臨できたでしょう。そんなことすら思ってしまうライブアルバムです。
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