この曲を聴け! 

Bat Out of Hell / MEAT LOAF
火薬バカ一代 ★★ (2009-05-25 21:59:00)
役者としてのキャリアも積む個性派シンガー、ミートローフことマーヴィン・リー・アディと、ワーグナー狂の
ソングライター、ジム・スタインマンがタッグを組んで作り上げ(プロデュースはトッド・ラングレンが担当)、
'78年に発表するや大好評を博し、現在に至るまで全世界で3000万枚以上というギネス級の売り上げを記録しているMEATLOAFの
デビュー作にして、一大ロック・オペラ・アルバム『BAT OUT OF HELL』(邦題『地獄のロックライダー』)シリーズの第1章。
高揚感を生み出す力強いメロディを、全身全霊を込めて熱唱するパワフルなVo、壮大にしてダイナミックな起伏を描く
オペラティックな曲展開、全編を豊かに彩るピアノの旋律にビッグなコーラス・・・。聴き終えた後、思わずそれまで止めていた息を
「っぷは~」と吐き出してしまうくらい、怒涛の盛り上がりっぷりを聴かせる名曲①で幕を開ける本作は、
大作主義が打ち出されていても、プログレッシブ・ロック的な内向性や繊細さといった要素は然程感じられず、それよりも寧ろ、
外へと向かっていくポジティブなエネルギーに満ちた豪快な躍動感や開放感溢れる作風は、如何にも大陸的(アメリカン)。
流石に30年以上昔の作品ゆえ今聴くと多少古臭い感は否めないし、シリーズ最高傑作と名高い『BAT OUT OF HELL Ⅱ 地獄への帰還』
辺りと比べると、意外にロックンロール風味の強いシンプルな仕上がりに肩透かしを食うHR/HMファンも多いかもしれないが、
個人的には、正面きって物量勝負・体力勝負を仕掛けてくる『~地獄への帰還』よりも、理屈抜きに体が動き出す
エネルギッシュでノリノリな⑤、ストリングスをフィーチュアしてラストを壮大に締め括るドラマティカルな
バラード⑧といった名曲を収録し、胃にもたれない適度に軽快な味わいも感じられる本作の方が、聴き返す機会が
多かったりする。(LP時代ゆえコンパクトにまとめられた収録時間も丁度良い按配でありがたい)
全然ロックしてない?いやいや、これほど心と体をロックされる(揺り動かされる)アルバムはそうはないですよ!

→同意