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On a Storyteller's Night / MAGNUM
火薬バカ一代 ★★★ (2008-03-29 10:14:00)
所属レーベルの倒産等、数々の不運が重なり、活動休止(というか事実上の解散)へと追い込まれたMAGNUMが、'84年の
レディング・フェスティバルへの参加を機に復活を果たし、新たにFM RECORDSと契約を結び、'85年に発表した5thアルバム。
全英チャート24位にランクインしたのを筆頭に、欧州全土で好セールスを記録し、MAGNUM起死回生の一撃となった本作は、
ロドニー・マシューズの手による、幻想的なジャケット・アートワークが端的に物語る通り、如何にも英国然とした
湿り気をタップリと含んだ、ファンタジックでドラマティックなHRサウンドが、最初から最後までギッシリと詰め込まれ、
多くのファンが、このアルバムをMAGNUMの最高傑作に推すのも納得のハイクオリティを誇る。
ハード且つソリッドな作風が印象的だった前作から一転、暖かく包み込むようなサウンド・プロダクションの下、
派手さを抑え、大衆性を高めたアレンジの施された収録曲は、ミドル・テンポを中心に、じっくりとメロディを聴かせる姿勢が
徹底されていて、全体的に、プログレ・ハード路線への接近を感じさせる。特に、洗練された爽快なポップ・チューン②や、
リズミックでキャッチーな⑦、ますます円熟味を増したボブ・カトレイの極上の歌声が感動を呼ぶバラード⑩は、
産業ロック的な味わいが強く打ち出されたナンバーで、非常に魅力的。またその一方で、ドラマティカルなOPナンバー①、
表題曲にしてアルバム・ハイライトの③、陰影に富んだスロー・チューン⑤等、仄かにプロウグレッシブ・ロック・風味が薫る、
従来の路線を踏襲した楽曲も収録されていて(フック満載で心地良く弾む④、高揚感に満ちた⑧も素晴しい)、
まさに、MAGNUM黄金時代の幕開けを飾るに相応しい、全方位に渡って隙のない内容に仕上がった1枚。必聴。

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