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Vol 4 / BLACK SABBATH
いおっみ ★★ (2008-12-10 04:50:00)
前作「MASTER OF REALITY」でスタイルを完成させたサバス。
己を確立した次の一手として、音楽的な実験を開始したのが「VOLUME 4」だ。
最も顕著な試みがキーボードの導入。
メロトロンで泣きまくるWheels Of Confusion、ピアノバラードのChangesでは楽曲の要となっているし、今までと同じスタイルのSnowblindですら装飾に使用されている。
後々ゲストや常勤サポートのキーボーディストを加えていくことになるサバスにとって、これは一大転機だ。
「4ピースバンド」の殻を破った瞬間でもあり、新たな楽器、新たな人材を登用するバンドへと変化した刹那なのだから。
バンドの本質が変わった「第2のデビュー作」と言っていいだろう。
かつては「VOLUME 4」が最高傑作と呼ばれていたが、現在では「PARANOID」「MASTER OF REALITY」にその地位を代わられたようだ。
これは妥当な結果だ。
ブレイクした勢いに乗っているとは言え、スタジオを転々としたために音質がバラバラだし、サウンドに重さがない。
実験を始めたばかりの拙さも要所に現れており、アレンジに気を取られたのか肝心要の曲が今一歩だ。
さらにはアルバムの流れもぎこちない。
曲の良さでは「PARANOID」に及ばず、スタイルと流れを磨き上げた「MASTER OF REALITY」に及ばず、加えて原石の輝きを魅せる「BLACK SABBATH」にも及ばない。
十二分以上の傑作ではあっても最高ではないのだ。
だが、だからこそ本作を愛してしまう自分がいる。
サバスの歴史、変遷、当時の状況を知っていくほどに味わい深いアルバムだ。
70年代後期の混迷したサバス、80年代以降の様式美サバス、そしてオジーのソロ、それらすべての第一歩はここにあるのだ。
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