この曲を聴け! 

アニソン/ゲーソンこの曲を聴け!
Usher-to-the-ETHER (2009-02-05 17:19:00)
【華に舞う黒蝶の姫 / SINC.ART'S】
以前紹介したSEVENTH-HEAVEN MAXIONにも参加した五条下位さんが作曲及びアレンジを
担当するグループの、2007年発表のオリジナルフル。有名なメタル系レビューサイトや
ブログでも取り上げられ、おそらく同人/アニメ・ゲーム関連の系統の中ではメタラーの
注目度も高いと思われる作品。取り上げるのも今さらという気もしますが(笑)
…取り敢えず以下お気に入り曲です。
「Marionetteの輪舞」
大仰で荘厳なオープニングから、クサいリードと共に疾走するイントロで、クサメタルに理解が
ある人なら誰もが心の中でガッツポーズをしたくなるような様式美/ゴシックメロスピ。
…と思ったら、ヴォーカルがこまっしゃくれた五歳児みたいでずっこけてしまう(苦笑)。
…倒錯した世界観に、少女のモチーフを投げ込む事で倒錯を深めようという意図は理解できる
…理解できるけど、どうしても滑稽に聴こえてしまう…。初期ラルクみたいな耽美で
キャッチーなサビメロも素晴らしいし、曲自体はほんとに名曲なんですが。
私にとっては「上等な料理にハチミツ(以下略)」って感じですね…。
「VALKYRIE」
ガチなメタルだった1曲目とはうって変わって、トランシーな打ち込みリズムを前に出した曲。
ですがリードギターやリフはメタリックだし、クサイ歌メロは疾走メロスピに乗せても実に
映えそうだし、メタルの感性を持った人が作ったトランスという感じ。
ヴォーカルも上手く華のある声質で、正直この人に1曲目を歌って欲しかったです。
「トロイメライの調べ」
伸びのある歌声による哀愁たっぷりの歌メロとそれをブーストするメランコリックなピアノ、
トランシーなシンセと打ち込みリズムが見事に調和した曲。ぶっちゃけ、アレンジはSHMの
「喪失の雪夜」とそっくり(まあ、ヴォーカルもアレンジャーも一緒だし…)なんですが、
声もメロもいいし、ツボを突いてるので全然オッケーです。
「黒き魚」
パーカッシブなリズムと暗く仄めくようなストリングスが、深海にいるような情景を演出する曲。
ヴォーカルも少し小節掛かった歌い方で更に幻想的な雰囲気を強めてます。
「ああ黒き魚たちの/幾億の光る視線/幾千億の鱗の揺らぎ/一斉に人を覗き込む」
この歌詞が曲の雰囲気にピッタリすぎて思わずゾクっとする。
…偉そうな言い方ですけど、「どれだけ巧みに風景を描けるか」を評価の基準とするなら、
この曲は満点をあげてもいいんじゃないかと思う。「濛々潜る」「煌々照らす」「覗き込む」の
メロのクサっぷりも実にツボを突いてる。
…上海アリス/東方というクサいメロディで有名な分野に足を踏み入れるだけのことはあって、
オリジナルもなかなかにクサいメロが聴け満足。特に1曲目「Marionetteの輪舞」は、
ヴォーカルの幼さを差っ引いても話題になるクオリティがあると思う。
…でもそれよりも驚いたのは「黒き魚」。「天つ風」「ソラとトキと二色のチョウ」からは
想像出来ないような作風で、しかもクオリティも非常に高い。
個人的に、一つの理想として「深みのある世界観がある」ことと「その世界観に一聴で
引き込む分かりやすさがある」ことを両立させた音楽…というのがあるんですが、
「黒き魚」は正にそういう曲。正直アルバム通して聴くと中だるみするんですが、
この一曲のために買っても損はないと思います。

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