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Sitra Ahra / THERION
火薬バカ一代 ★★ (2010-10-23 01:05:42)
マッツ・レヴィン(Vo)やリズム隊が脱退する等、バンドの陣容は大きく様変わりしているものの、ブレインたる鬼才クリストフェル・ユルソン(G)さえ健在ならばそれで万事OKなTHERION、'10年発表の11thアルバム。
シンフォニックな華麗さ以上に、へヴィ・メタリックな重厚感やアグレッションを強調した作風は前2作と同様だが、それもその筈で、本作は8th『SRIUS B/LEMURIA』レコーディング時にクリストフェルが尋常ならざる創作意欲を発揮した結果、膨大に書き溜められ同アルバムには収まりきらなかったマテリアルによって構成されており、実質的には10th『GOTHIC KABBALAH』よりも以前の時系列に位置する作品とのこと。
但し「だからと言って余り物で構成されてるわけじゃないよ」とクリストフェルが語るように、壮麗、劇的、それでいてヘヴィネス漲るOPナンバー①を手始めに、今回も大仰且つドラマティックなシンフォ・メタルが全編に渡って炸裂。特に、IRON MAIDENからの多大なる影響を、クラシカルなオーケストレーション、オペラティックなクワイア、そして壮大なスケールの曲展開を持ってTHERION流メタルに昇華してみせた②はアルバム屈指の名曲。
プロダクションの問題なのか、時々やけにこじんまりとしたサウンドに聴こえてしまう点と、ところどころで顔を覗かせる牧歌的なメロディ/アレンジが全体の緊張感を削いでしまっているような気がしなくもないが、まぁその辺りは好みの問題かと。
前2作とは異なるシングル・アルバム形態での発売ゆえ手を出し易いので、THERION未体験の方は入門編として如何でしょう?

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