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Paracletus / DEATHSPELL OMEGA
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2010-11-20 17:49:45)
2010年発表の5th。
「Si~」、「Fas~」と続く、三部作の完結編だとか。

ミニアルバム「Kenose」で不穏で混沌としたリフ捌きと、プログレッシブな曲展開で新たなブラックのヴィジョンを提示、「Fas~」では静と動の均衡を極端に付け、ブルータルでより混沌とした作風に、続く「Chaining~」ではやや展開の極端さはなりを潜めつつも、「Fas~」以上の混沌とした世界観を提示する…という変遷を辿って来た彼らですが、今作は「Chaining~」の作風を踏襲した、フルレンス版とでもいうべき作品になってますね。

今までの彼らからするとトラック毎の演奏時間は短めですが、アルバム一枚で一つの作品、トラックは楽章のような構成になっているあたり、やはりある意味大作主義は変わっていないのかも。

しかし、彼らの作品のレビューを書くたびに言ってますが、彼らのリフとリズムのアンサンブルは他に追随できるものがないくらい、凄まじいですよね。アヴァンギャルドメタルやプログレメタルが持つ奇矯さ、不条理な感覚と、エクストリームメタルが持つ凶悪さ、ブルータリティをここまで高いレベルで両立させているバンドって他に見当たらないですもん。「Kenose」のレビューで、「このリフは生きている」とコメントされてる方がいましたが、本当に有機的を通り越して、生物的ですらあると思いますし。

神学的で神秘的な、深遠な雰囲気と暴虐性を兼ね備えた名盤。凡百のブルータル系のメタルバンドがただのマッチョだとすると、こっちは人知の及ばない世界からやってきて、一瞬でそいつらを塩の柱に変えてしまうような、凄まじいパワーのある作品だと思う。

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