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Boston / BOSTON
火薬バカ一代 ★★★ (2010-11-20 21:45:59)
JOURNEY、STYX、KANSASらと共に、一時は「アメリカン・プログレ・ハード四天王」とも並び称された、マサチューセッツ工科大学卒という異色の経歴を誇る才人トム・ショルツ(Key)率いる理系ロック・バンドBOSTONが、'76年に発表した1stアルバム。(邦題は『幻想飛行』)
70年代初期から活動を開始し、音楽的試行錯誤を重ねて来た他の3バンドに比べ、後発のBOSTONはデビュー当初より一貫してポップなアメリカン・ロック・サウンドを志向しており、壮麗なギター・オーケストレーション、良く歌い良くハモるツインG、クセなくクリアに伸びていく故ブラッド・デルプ(合掌)の歌声と、ファルセットを効果的に用いた美しいボーカル・ハーモニー、それに軽やかなハンドクラップ(手拍子)等、そういった要素一つ一つを丁寧に組み上げ構築された、メロディアスで透明感を湛えた「BOSTONサウンド」は、既に立派にその個性を確立済み。
と同時に、彼らのカタログ中最も強くプログレ色が滲み出ているのも本作の特徴の一つで、特にそれを強く感じさせるのがトム・ショルツの操るハモンド・オルガンの活躍っぷり。取り分け、2部構成からなる7分以上に及ぶ大作③や、ブギーの軽快な曲調から一転、インスト・パートではハモンドがドラマティックに唸りを上げる⑤は、このアルバムでしか聴く事の出来ないタイプの名曲かと。
我が最愛のバラード“A MAN I'LL NEVER BE”が収録されているのは2nd『DON'T LOOK BACK』なれど、「BOSTONの魅力全部入り」といった趣きの名曲①②を筆頭に、最初から最後まで一切の捨て曲/埋め曲の類の見当たらぬ本作こそが、このバンドの最高傑作ではないかと思うのだが、如何でしょうか?

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