この曲を聴け! 

Going for the One / YES
やまねこ ★★ (2002-06-04 16:50:00)
77年作。プロデュースは、バンドのセリフ・プロデュースとなっている。
レコーディングは、P. Morazの故郷スイスで行われた。
本作は、YESの音楽性の転換期に相当する時期に作成された。
そのため、当時のYESが意図していた方向性が随所に散見される。
それは、ズバリ前作までの大作主義の排除と曲の軽量化である。
音楽性の変化に呼応してジャケットも以前の幻想的な絵を輩出した
ロジャー・ディーンから、写真のコラージュなどを駆使する
超現実的な絵柄を得意とするヒプノシスへと担当が変わっている。
これらのことからもYESが方向転換を計ったことは明白である。
では、何が変わったというのか?
その代表例としては、Going For The One、Wonderous Storiesがあげられる。
Gonig...は、Howeのスティール・ギターで開始されるYES風ロックンロール曲である。
レコーディング途中まで参加していたMorazは、新しいRoundaboutと称していた曲で、
軽快なロックンロールに仕上がっている。過去のYESのような仰々しい変拍子や
音の厚み、装飾やトリッキーな展開が幾分後退している。
一方、Wonderous...は、シンプルなメロディにWakemanのきらびやかなkeyが装飾された
曲で、過去にない程のシンプルさが目立つ。
以上のように上記2曲は、YESの方向転換が誰の目から見ても明白な曲だと思う。
しかしながら、大作主義の残像であるAwakenの存在は、
YESの新機軸に曖昧さをもたせた。
結果、英国では1位、米国でも7位とチャートリアクションの成功をおさめた。
と角ばったことをウダウダ述べてきたが、結局のところ
本作は過去の作品と比較しても見劣りしないというのが私論である。
新機軸の2曲は、いずれも秀作で、いまやYESのクラシックにふさわしいし曲群だし、
AndersonのフェイバリットのAwakenの存在意義も無論、偉大である。
Squire作のParallelもキャッチーな曲で好きである。
本作は、The New Yes Albumと仮題したのもうなずけるYESの
新機軸を明らかにした名作と言えるであろう。

→同意