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Elysium / STRATOVARIUS
けーじ ★★★ (2011-04-29 15:50:20)
一皮むけたな、という印象。
前作は消化不良気味な部分がありながらも、一時期の低迷からは脱しており、未来に希望を持たせるものであった。
個人的に次のアルバムが勝負だと思っていたのだが、想像以上のものを出してくれた。

前作からプログレ的素養の片鱗を見せていたマティアスだが、今作ではそれを全面に押し出してくれた。どの楽曲もプログレッシプな趣が備わっており、「あれ、こんなバンドだっけ?」といい意味で思わされる楽曲群には彼の功績がある事は間違いない。

それと、既に指摘されているが、小ティモがいつもの裏返るようなハイトーンを用いず、非常に安定感のある歌唱を聴かせてくれる。はっきり言って、こちらの方が彼の魅力が発揮されていると思う。元から特別音域の広い人ではないわけだから……。
それに付随してか、以前のようなクサメロは聴かれなくなった。
もちろん、メロスピもしくはメロパワに通ずるクサさというのは保持されているが、落ち着いたものになっていると思う。
おそらく意図的にトルキ期のイメージを避けた部分もあるだろうが、その結果、他のバンドとは一線を画した独自の音像を築く事に成功している。

プログレッシブではあるが、難解でなく、親しみやすい。一聴してリスナーの興味を引き付けるメロディーを持っているが、陳腐でなく、聴き飽きる事がなく、耐久性の高いアルバムに仕上がっている。
今回のアルバムを評するならこのような事になるだろうか。



個人的には大満足の本作であるが、ネットではこのアルバムに不満を持つ意見が意外と多く見られる。無論、そのような意見を持つのはトルキ期のファンもしくは、俗に言うメロスパーである。
このような事を書くと怒られるかもしれないが、バンドはそのような意見に惑わされず、現在のサウンドを貫くべきだと思う。むしろ、旧来のファンは切り捨てるくらいの気持ちで臨んでもらった方がバンドの未来は開けるのではないか、と個人的には思っている。
既にティモ期のイメージを払拭出来るだけの楽曲を生み出す力を持っているのだから。

国内盤のボーナストラックといい、最近のセットリストといい、現在のバンドがティモ期の曲を多く取り上げており、バンドが旧来のファンか新しく獲得したファンか、どちらに焦点を当てているのかぼやけている印象があるので、蛇足ながらも付け加えた次第であります。
→同意