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Remnants of a Tormenting Black Shadow / TAARMA
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2011-05-03 21:24:34)
2007年発表の1st。
トリビュート盤をリリースしたり、このアルバムにもXASTHURのカバーを収録したり、XASTHURから多大な影響を受けているだろうことは予想してましたが…素晴らしい事に、「葬式ドゥーム並のスローテンポ+陰鬱なトレモロ」「アンビエント要素の導入」という、スタイルの面だけでなく、XASTHURの持つ実験精神まで受け継いでいるんですよね、このバンド。
例えば、キーボードとノイジーなギターリフを融和させたような音質で、質量感や奥行きのある、普通のバンドが成しえないような暗黒を表現したり、ノイジーなリフの中で加工されたトレモロリフ(キーボード?)が密教の儀式の中に響く民族楽器を思わせる音で鳴っていたり、音質・音像を意図的に、実験的に操って陰鬱さを表現する手法は、中期以降のXASTHURに通じると思う。
更に、魔界の森に取り込まれ、人面樹と化した人間達の嘆きを思わせる、エフェクトの掛かった絶叫もXASTHUR的。トレモロを聴かせるパートでも、そのメロディは非常に陰鬱。フォロワーといえども、暗黒性の濃さでは決して見劣りしない音だと思います。その音に触れただけで取り込まれるような、鬱ブラックでも生え抜きの暗さ。BGMにしようとすると部屋が魔界化します。
ただ、XASTHURと決定的に異なるのは、リズムに打ち込み然とした音を敢えて用いている事でしょうか。これが奥行きのあるリフ/キーボードで形成される空間の中に鳴り響くと、更に密教っぽいムードが増すんですよね…。ごく一部の疾走パートでも、この音だからこそ、焦燥感のみが増していく感覚が出せているのではと思う。
実験精神を持ち、尚且つそれを鬱ブラックの暗黒性を表現する事だけに向けたかのような、徹底した作風のアルバム。本家に肉薄する…どころか、部分的には超えてるとすら思える出来なので、フォロワーっぽいイメージで敬遠すると損しますよ。
→同意