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Life? / GLOOMY GRIM
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2011-05-16 17:56:28)
2000年発表の2nd。

…名は体を表すという言葉が、これほどまでに似合うバンドは彼らを置いていないのではないでしょうか。正に「陰鬱で、怖気を震うような」世界観を描く、アヴァンギャルドでダークな個性派シンフォニックブラックを演ってます。

ただ、アヴァンギャルドとは言っても、展開は突飛な訳ではなく、むしろドラマ性に富んでいるし、刻みも入れたリフを含むアンサンブルなんかは、正統派メタラーでも十分受け入れられそう。変態的なのは、主にキーボードの音色の使い方と、その音色が醸しだす、薄気味悪さをメルヘンな感覚が更に気持ち悪くする、独特のムード。

しかもキーボードが不安を煽りまくるムードに便乗して、ベースを気味悪く蠢かせたり、聴き手を怖がらせる術を熟知している感じで、聴いてて酔いが回ってくる音。かなり喉声っぽいヴォーカルも、奇妙な世界の語り部として申し分の無い不気味さ。COFの「鬼女と野獣」が伯爵夫人の肖像なら、これは同じモチーフで前衛志向の画家が書いた作品と言う感じ。気味悪さでは上ですが、雰囲気自体は似てる気がする。

ロックのガイド本とか見て「薄気味悪い世界観」を演出すると言われるバンドを聴いてみても、実際はただのブルースの抜け切らない普遍的なロック音楽で、「薄気味悪さ」が歌詞や歴史的背景、聴き手の想像力など音楽以外の要素に依存するものでガッカリ…ということが結構あるんですが、このバンドは「薄気味悪い世界観」を「音そのもので」描ききっているのが素晴らしい。ロックのガイド本はこういう音こそ紹介すべきだと思う。

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