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The Great Mass / SEPTICFLESH (SEPTIC FLESH)
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2011-05-28 18:04:54)
2011年発表の8th。
初期はゴシック要素もある、夢想的で神秘的なデスメタル、中期にブルータリティ・シアトリカルさを強めつつも一時解散、そして再結成してリリースされた前作「Communion」では現存するバンドの中でトップ10に入るくらい、個人的に好みの作風になった彼らですが…今回も前作の路線を踏襲した、超大仰なシンフォニック・デスでモロに私のツボな作風。タイトルは「大いなるミサ」でしょうか…その「大いなる」のスケールが、もう他のバンドじゃ追いつけないレベルになってます。
前作からしてそうですけど、このバンドの作風は「デスメタル」の部分も、「シンフォニー」の部分も振り切っている所が素晴らしいんですよね。斧で叩ききるようなヘヴィネスと、ドスの効いたデス声が絡むバンドサウンドは神々の怒りそのもののようだし、ストリングスは密教的な妖しさを醸しだし方と思えば、途轍もないスケールの情景を描いたり、場面を過剰なまでに演出して見せてる。
当然、その二つが絡むのだから、相当ダイナミックな作品になっているんですが…「ダイナミック」「ブルータル」であるのに、「アトモスフェリック」で「繊細」なのが本当に凄いと思う。曲にクオリティのバラつきがあった前作よりも質が統一され、より情景描写に富むようになった印象で、極悪に重いブラストに怖気を震うオーケストラが絡む箇所なんかはマジに寒気がしそうになるし、ギターが廃墟となった荒野に取り残されたかのような泣きのトーンを弾いてる所では、胸が詰まったような感覚になります。
相変わらず、初期作より続く灼けつくような神秘性を感じさせるギターの音色は素晴らしいですし、期待通りの作風、期待以上のクオリティに大満足な一枚でした。取り合えず上半期ではこのアルバムがベスト。
不遜ながら言わせてもらいますが、こんな素晴らしいアルバムが日本盤も出ず、話題にもならず終わったら、日本のメタルシーンは死んだと思う。ほんとに素晴らしいんで、ちょっと興味ある人はまず試聴だけでもしてみて下さい。これがエクストリーム・メタルであり、ヘヴィメタルです。
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