この曲を聴け!
Illud Divinum Insanus / MORBID ANGEL
Usher-to-the-ETHER ★★ (2011-06-01 22:07:26)
2011年発表の8th。
帝王様の新作がリリースされたという事なので、取り合えず…と購入してみましたが、8年ぶりの新作にしていきなり問題作ですね…それも前作が比べ物にならないくらいの。
当然、従来のようなデスメタルも演ってるは演ってるんですが…モダンなヘヴィロックのようなリズムと展開を持つ曲、人力インダストリアルなメカニカルな曲、ロックのダンサブルなノリを取り入れた曲などもあってかなり驚きました。まあ、「Destructos~」辺りは、SAMAELやSATYRICONが既に踊れるエクストリームメタルのモデルケースを提示していたので、そのデスメタル版と思えば然程驚きはしませんでしたが、殆どMARYLIN MANSONな「Rudikult」はリアルに声出るくらい面食らいましたね…
また、今作はヴォーカルにDavidが復帰した事が大きな話題になっているようですが、彼の声はかなり地声に近い感じの自然な歪ませ方なのに、恐ろしくドスが効いていて迫力ありますよね。デス声のお手本になりそうなスタイルなのに、強烈さが個性になってる。歌詞も歯切れ良く吼えてくれるので、今作のキャッチーな楽曲にも何気にマッチしてます。個人的にはSteveの時々人間辞めてるみたいな声の方が好きですけど、今作の作風には彼の声が合ってる。
今作、実験的な楽曲に関してはまあ興味深く聴けるし、リフワークでかなり筋を通してくれてるのでそこまで否定的ではないんですが、肝心のデスメタル曲が前作や前々作より少し弱い気がするんですよね。ギターの弦から瘴気(ライナーで言う所の「魔闘気」?)が立ち上っているのが目視できそうな邪悪さが、少しだけ薄れてる感じ。瞬間最大濃度こそ全く薄れてないものの、実験的な部分に力を割いてるせいか、インテンシティをキープ仕切れてない印象。とは言っても、今までと比較してであって、十分邪悪と言える音ですけどね。
個人的には、ダンサブルなエクストリームメタルって決して嫌いじゃないし、DEICIDEやHATE ETERNAL辺りも頑張ってくれてるので、まあ帝王がこういう路線に行っても受け入れられるんですが、日めくりカレンダーを一日一日めくりながら発売日を待ち望んでたような熱心なファン、とりわけ「Domination」路線を期待した人には衝撃が大きいかもしれませんね…。取り合えず、この作品がこれからどういう評価を受けるのか、無責任に楽しみではあります(笑)。
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