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STRIKE BACK / X-RAY
火薬バカ一代 ★★★ (2008-06-29 15:19:00)
若さに似合わぬ(本城未沙子のバック・バンドを務めていた頃は若干17歳)卓越したGテクニックと、確かな曲作りの
才能を併せ持った天才ギタリスト湯浅晋と、4オクターブの声域を自在に操る、実力派ボーカリスト藤本朗という2枚看板を擁し、
高い人気を誇った関西出身のHMバンドX-RAYが、'84年に発表した4thアルバムにしてラスト・アルバム。
ファンから「バンドの最高傑作」と高く評価される本作は、初期の頃のような荒々しさ(それこそTWISTED SISTERの名曲
“WE'RE NOT GONNA TAKE IT"のカヴァーがハマるノリ)が薄れた代わりに、1曲1曲が丁寧に練り込まれ、
じっくりとメロディを聴かせる内容に仕上がっている。エネルギッシュに疾走する③、スリリング且つ劇的なGソロに
痺れる⑤、アルバム本編を爽快に締め括る⑩といった、スピード・チューンもしっかりと収録されてはいるものの、
個人的に、それ以上にバンドの魅力が発揮されているように思うのが、歌謡曲的な哀愁を発散しつつも、どっしりとした
重量感溢れるミドル・テンポのナンバーの数々。特に、GもVoも猛烈に泣きまくる①は、X-RAY屈指の名曲じゃないでしょうか。
華と表現力を兼ね備えた湯浅のG、楽曲に親しみ易さを付与するKey、要所で印象的なフレーズを閃かせるBに、
手応え十分のリズムを叩き出すDsと、各メンバーの仕事っぷりも素晴しいが、中でも特筆すべきは、成長著しい
藤本のVo。初期の頃は、音程に無頓着なシャウトが聞き苦しい印象だったが、ここではそうした未熟さは完全に影を潜め、
高音部まで丁寧に歌いきる、まさに「実力派ボーカリスト」の名に相応しい貫禄の歌声を聴かせてくれる。
これがバンドのラスト作とは、返す返すも残念。
ちなみに'92年に再発された時は、3曲入りEP『HUMAN DOG』とのカップリング仕様だった。

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