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Memoria Vetusta II: Dialogue With the Stars / BLUT AUS NORD
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2011-06-07 18:38:43)
2009年発表の7th。

前々作「MoRT」ではブラックメタルを融解させ、誰も辿り付いた事のない新境地へ到達、前作「Odinist」ではそのスタイルを、伝統的なブラックとある程度融合させた…という変遷をえてきた彼らですが、今作は初期作の続編という位置づけだからなのか、割と普遍的なメロブラのスタイルに近い作風になってますね。メロウなリフでの疾走も多いし、哀感の篭ったアルペジオやリードギターは前々作と同じバンドとは思えません(笑)。

ただ、完全に普遍的なメロディック・ブラックになってしまったわけではなくて、やはり彼ららしい捻くれた感覚は残って(しまって)いるのが、面白いんですよね。リズムは人力でインダストリアルを演奏したような、このバンド特有の感触があるし、基本的にはメロウなリフも所々不協的な音色になったりして、それがフックになってると思う。でもこのバンドが10分超えの大作やって変態的な方向に行かないと、「よく我慢したなぁ…」とか思ってしまいます。

メロディック・ブラックに、このバンドが2000年以降に発揮し始めたアヴァンギャルド性を隠し味的に盛り込んだ感じの作品。「MoRT」も完成された作品だし、あれも大好きなアルバムですが、こういう、あからさまではないけど確かな前衛性が垣間見えるブラックも面白いですよね。

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