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Agitation / ACCUSER
火薬バカ一代 ★★ (2011-06-08 22:30:48)
一時はSCARTRIBEと変名して活動を行っていたドイツのベテラン・スラッシャーが、バンド名をACCUSERに戻して'10年に発表した復活作。
嘗ての中心メンバー、エーベルハルド・ヴェイエルの名はラインナップに見当たらず、フランク・トムスがバンドの牽引役を担っている事からも察せられる通り、本作で聴く事が出来るのは80年代のパワー/スラッシュ路線ではなく、90年代にフランク主導で制作された『REPENT』や『REFLECTIONS』といった作品を彷彿とさせる、ある程度モダンな要素も飲み込んだゴリゴリの強面サウンド。
フィル・アンセルモ風味の怒号Voや、歪みまくった音色のGに、迫力不足のドラム・サウンドといった味気ない音作りには不満を覚えなくもないが、とは言え、スラッシーな疾走感を大幅回復させて突っ走る硬質な楽曲のカッコ良さ、それに何より、デビュー当時から一貫してこのバンド最大の武器であり続けた、ヨーロピアンな憂いを湛えたメロディを流麗に奏でる劇的なツインGの魅力の前には、そうした不満も雲散霧消。
掴みに最適な高速ナンバー①、繊細な叙情インスト曲⑤から一転して猛然と畳み掛けて来る⑥、ラストを締め括るデスラッシュ・ソング⑨等もいいが、本編のハイライトは何と言っても③。スピーディな曲調に緩急を効かせたドラマティックなインスト・パートが組み込まれた、バンドの新たな代表曲になり得るこの名曲を聴くためだけにでも本作は購入する価値あり。

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