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Agitation / SABER TIGER
火薬バカ一代 ★★★ (2011-08-18 02:31:51)
Dsを飯山明寛から、若干20歳の新人(当時)磯田良雄に代えて'94年に発表された2ndフル・アルバム。
安っぽいサウンド・プロダクションと、持ち前の大作主義に更に拍車の掛かった作風、それに90年代の作品らしくヘヴィネスの強化が図られた音楽性が賛否両論を呼んだアルバムなれど、綿密に組み立てられた曲展開の妙や、ヒネリの効いたアレンジなど、一層の洗練を得てドメスティックな色合いが薄まりをみせた本作において、SABER TIGER流HMサウンドは確立を見たと思うのだが、どうでしょう。
先にヘヴィになったと書いたが、朗々と歌う久保田陽子のVoは相変わらずコブシ効きまくりだし、日本人らしい木目細かさで組み立てられた木下昭仁のスリリングでメロディアスなGプレイ、そしてドラマティックなハーモニーを奏でるツインGに彩られた楽曲の数々からは、大味さなんぞ微塵も感じられない。(勿論、疾走ナンバーもちゃんと収録)
OPを重厚に飾る“INTO MY BRAIN”と、本編の幕引き役を担うヘヴィ・バラード“NIGHTLESS QUARTERS”は、片や8分弱、片や11分超という長尺を全く苦痛に感じさせない、このアルバムの魅力が凝縮されたような名曲に仕上がっている。
削り出し金属のようなそっけないジャケット・アートワークが物語る通り、ダークでソリッドな味わいが魅力の1枚。好き嫌いは分かれるかもしれないが、個人的には大好きな作品。
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