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On Divine Winds / HAIL OF BULLETS
火薬バカ一代 ★★ (2011-08-19 21:42:11)
バンドの事も碌に知らず本作を購入したのは、このアルバムが「大日本帝国の栄枯盛衰」をテーマに据えたコンセプト・アルバムである事に戦争映画ファンとして食指をそそられたからだが、アルバム1枚で太平洋戦争開戦から終戦までを語り切ろうとする欲張りな構成ゆえ、真珠湾攻撃、満州事変、ガダルカナル、飛び石作戦、東京大空襲、沖縄地上戦、そして玉音放送・・・と、主要なポイントは押さえれているものの、総じて展開が駆け足気味で、学校の教科書を流し読みしているかのような食い足りなさが残る。
ただメンバーは百戦錬磨のベテラン揃いだけに曲作りの巧さは確かで、凶悪且つ殺伐としたデス/スラッシュ・サウンドを基本としつつ、シチュエーションに応じて2本のGを効果的に用いたドラマティックなメロディや曲展開を導入する等、収録曲はいずれも良く練られており、特に、ハワイへと向かう零戦の大編隊の如く轟然と突き進む②、東南アジア資源地帯を瞬く間に制圧する日本軍の進撃を禍々しく綴った⑤、「バターン死の行進」の犠牲者たちに捧げられた⑧、神風アタックに対する激烈なる鎮魂歌⑪といった楽曲が発する重厚な迫力は特筆モノ。あと、情緒の類を一切排して、ひたすらブルータルに迫る筆致は戦勝国出身バンドならではと言えなくもないような?
この調子で、次は郷土オランダを舞台に展開された「マーケット・ガーデン作戦」や、もしくはイタリア軍視点で北アフリカ戦線を描くコンセプト作なんてどうでしょうか。
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