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Void / VOID
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2011-08-20 03:27:15)
2011年発表の2nd。

前作は禁欲的かつクオリティの高いインダストリアルブラックで、そのストイックさが地味に感じる音でもありましたが…なんか随分変わりましたね。今作はインダストリアルブラックとして…いやエクストリームメタルとして、もっと言えば「ギターリフが曲の主軸を担う音楽として」素晴らしいアルバムだと思います。

前作では打ち込みだったドラムが今作では生になり、ブラスト中心の激速リズムにテクニカルなトレモロ混じりのリフが乗るスタイルで、殆ど前作とは別物になってますね。特にTHORNSを思わせる、インダストリアルの無機質さを感じさせつつ、ブラック特有の妖艶さも強く放ちながら、邪悪な流麗さをもって弾かれるリフ捌きが実にかっこいい。あと一割疾走パートが多かったらファストブラックになりそうなくらい疾走パートが多いですし、キャッチーと言っても過言ではない作風かと。

ただ、完全に脱インダストリアルした訳ではなくて…前作とは別の形でインダストリアルしているのが興味深いですね。通常ならマシンドラムで行うようなリズムを敢えて人間に叩かせていたり、リフにインダストリアル的無機質さが感じられたり、アンサンブルでインダストリアルな世界観を表現しているのが面白い。特に5曲目のリズムは、初期VIRUSのようなアヴァンギャルドな悪意的テクニカルさがあって実に聴き応えあり。ダレない程度にサンプリングやピアノソロなどを挿入してムードを醸しだす演出も良い感じ。

個人的には、NADER SADEKの新譜と並んで、今年のベストアルバムの最有力候補の1つになるほど気に入った作品なんですが…このアルバムでハードコア的激情絶叫から、幽鬼的クリーンまでこなしているヴォーカリストのBen Lowe氏は、作品完成後に自殺で亡くなったらしいですね…。この素晴らしい作品でバンドの実力を証明しただけに、惜しいですよね…。ご冥福をお祈りします。

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