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F.U.S.E. / SABER TIGER
火薬バカ一代 ★★ (2011-09-01 23:00:47)
噛み付くように歌う下山武徳のパッション漲るVoと、猛々しいリフの刻みから劇的な構築美を湛えたソロまで、剛柔兼ね備えて流麗に切り込んで来る木下昭仁のGという2本の牙、そしてタフでストロングなリズム隊とが絶妙なフックを効かせつつ猛進する、新生SABER TIGER流メタル・サウンドは健在だが、VoとGとリズムとが激しくぶつかり合って火花を散らしていた前作『SABER TIGER』に比べると、今回はスピードや攻撃性は控えめで若干淡白な作り。
代わりに本編の主役に据えられたのが下山の歌声。グルーヴィなビートやモダンなアレンジの増量で楽曲に適度な隙間(スペース)が生まれた事により、シンガーとして表現力をフルに発揮する機会を与えられた彼氏は、血管がブチ切れそうなパワー全開のシャウトから繊細な表現力に至るまで、アルバム全編に亘ってこれまでの集大成というべき渾身のパフォーマンスを炸裂。下山がここで得た経験値は、後にSIXRIDEで見事に結実する異なるのだが、まぁそれは別の話。
本作について話を戻すならば、疾走ナンバー“屈辱”や劇的なヘヴィ・チューン“REFLECTING THE RAILWAY”といった名曲が並ぶ前半に対し、山場となる楽曲不在の後半の地味さが惜しまれる出来かな、と。1曲1曲を取り出せば決して悪い出来ではないのですが・・・。

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