この曲を聴け! 

Pro Nihilo Esse / ARS DIAVOLI
Usher-to-the-ETHER ★★ (2011-09-18 21:41:05)
2008年発表の1st。

スローテンポ基調のリズム構成に陰鬱なトレモロリフ、発狂ヴォーカルと鬱ブラックのテンプレートを満たしている作風ですが…いきなり第一音から、圧倒されるような感じがありますね。ノイジーなリフが瞬く間に視界全体に広がり、圧迫感すら覚えさせる導入だけで普通のリスナーなら絶望の淵に叩き落されます。

このNARGAROTHの3rdやRaslukaシリーズを思わせるような、物理的な圧迫を覚えるほどのノイジーなリフがこの作品の最大の特徴といえますが…決定的に違う点は、NARGAROTHがトレモロ自体がノイジーなのに対し、このバンドはノイズ質の中に、うっすらとトレモロが差し込むような感じになってる事ですね。メロディの性質の違いもあって、NARGAROTHは叙情的、こちらは絶望的に聴こえます。

また、このノイジーなリフを使っての音作りにもかなり拘りがあるみたいですね。例えば、1曲目の2:45~などが分かりやすい例ですが、ノイズ質とドラムの音が溶け合って、1つの波形を描くような音になっている音像、これはかなり珍しい音の作り方なのでは。トレモロを波動のように響かせるのは良く聴きますが、ドラムで似た音を作るのはレアだと思う。

他にも、低音をノイジーさの中で強調し、クワイア風のキーを重ねる事で神秘的な雰囲気を醸し出し、神々しいまでの絶望感を演出して見せたり、ドカドカと疾走するパートでは崩落しつつある世界の中で逃げ惑うかのような焦燥感を感じさせたり、何気にこの音質を活用しての表現の幅が広いんですよね。

とは言っても、このノイジーな音質自体が結構好みが分かれるものなので、この手が好きな人以外は手を出さない方が無難かも。まあULVERの3rdや、NARGAROTH辺りがいける人なら余裕で気に入ると思いますが。

→同意