この曲を聴け! 

A Dramatic Turn of Events / DREAM THEATER
SWGT9272 ★★★ (2011-11-25 00:37:34)
この新譜を手に入れて以来、繰り返し聴き込んでみた。 ここ数作のクセというか、エグ味みたいなものが薄いので、繰り返して聴いても疲れないのだ。

基本はギターとキーボードで作り上げているのが明瞭である。メロディ中心になり、エッジの立ったリズムとヘヴィなリフはかなり減った。これが、初期の作品群の作風への回帰を思わせる。

1曲目「On the backs of angels」、これは2ndの1曲目「Pull me under」と構成がそっくりである。曲の尺もほぼ同じ。リフの刻み方もかなり似通っている。作曲が同一人物だから、「作り直し」だろうか。

8曲目の「Breaking all Illusions」、このアルバムではこの曲が一番気に入っているが、この曲も「Leaning to live」を想起させる作りと展開である。序盤のベースソロの入り方、そこから曲が徐々に盛り上がり、アップテンポに曲想が変わる。中盤は「Lines of the sand」「Trial of tears」の要素も加わり、ラストは゛Metroporis pt.2"あたりで聴いたようなオーケストレーションで終わる。

こんな調子で、全体的に「10年前のDT」にリセットされたような感がある。 ヘヴィなリフに入り込んで行ったのは「This dying soul」あたりからだから、ポートノイがいなくなった今としては当然の方向性なのだろう。 ましてコンポーザー・プレイヤー・プロデューサーの3役をペトルーシが兼ねているのだから、ペトルーシの思うDT≒かつての曲調に回帰するのは自然なこととも言える。

今回は長くても12分半程度、DTにしてはコンパクトな作り(それでも一般的な曲からすれば十分長いが)だが、2ndアルバムもこんなものだった。 ドラムの入っていない曲が収められているのも、「The silent man」以来10数年振りではなかったか。

今回のアルバムで物足りなく思ったのは、「歌」。ペトルーシが、ラブリエの出せる音域が限られているから…と「配慮」した結果、歌メロはなんとも平板な印象になった。もう「Take the time」や「Learning to live」で聴かせたスクリームは出せないということだろうか。(ジョン・アンダーソンみたいに歳をとるにつれて高音が更に伸びてきたという妙な人もいたりする)。

このバンドも気が付けばオリジナルメンバーはペトルーシとマイアングのふたりだけになった。この同級生コンビが軸であれば、DTとしてのアイデンティティは保持されていくだろう。 あとはどんなライブパフォーマンスを見せてくれるのか、である。特にドラムのマンジーニ。
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