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蔦からまるQの惑星 / 筋肉少女帯
火薬バカ一代 ★★ (2011-11-28 20:08:52)
ヘヴィ・メタリックな作風のアルバムが連続した反動なのか、一転してコミック・バンド的な味わいが強く打ち出されている(ような気がする)'10年発表の15th。別に筋肉少女帯にストレートなHR/HMサウンドは求めていないので、アグレッシブな内容じゃなかったからと言ってガッカリすることはないのだが、今回はこれといった強力なキメ曲が本編に見当たらず、また全体的にメロ
ディも弱いかな?と(特に本編後半)。
そういう意味では7th『UFOと恋人』辺りとの共通点を感じたりもする1枚なのだが、『UFO~』がよくよく聴けば個々の楽曲自体は良く出来ていたのと同様、本作もまた、Key奏者(というよりピアニスト)三柴理の華麗なる指捌きが炸裂する“家なき子と打点王”や、中世風のお城が建ちそうな程の構築美に溢れた“爆殺少女人形舞1号”(いずれも作曲は橘高文彦)等、ドラマティックな名曲の存在が確認できるし、あと今作は作詞面の充実振りが特筆モノ。
きっとバンドの実体験に違いない『スパイナル・タップ』的な泣き笑いナンバー“アウェー イン ザ ライフ”、読み切り少女漫画として通用しそうな“あのコは夏フェス焼け”、流転するこの世の中で、あの日2人で見た夕暮れ時の海の美しさだけは永遠だった・・・ってな甘酸っぱい歌詞に赤面&胸キュン(笑)な“若い子とドライブ~80'sから来た恋人~”は、歌詞カードを読んでいるだけで十二分に楽しめてしまう、稀代のソング・ライター、大槻ケンヂの筆致が冴え渡る秀作。
評価は割れそうだが、しっかりと個性が主張された作品であることは確か。

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