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Мастер / Мастер(Master)
火薬バカ一代 ★★ (2011-12-27 07:22:05)
初期ARIAのメンバーが「もっとスピーディでアグレッシブなサウンドを追求したい」という欲求のもと結成したバンドの'88年発表のデビュー作。
IRON MAIDENやJUDAS PRIESTら西側バンドからの影響を衒いなくモロ出しにしつつ、刻み目の粗いGリフと畳み掛けるリズムが猛ラッシュを仕掛けてくる疾走曲に関しては、実際「スラッシュ版ARIA」といった趣きが強く感じられるのだが、Voはしっかりとメロディを歌っており、またARIA同様2本のGが豊かに紡ぐメロディが全編を劇的に彩っているため、例えば同郷のスラッシャーSHAH辺りと比べると、もっとずっとメロディアスでパワーメタル寄りの(聴き易い)サウンドがその持ち味。
と言うか本作に関しては「あれもこれも演りたい」という衝動が先走り過ぎて、メロパワ風味のエピック・ソングから、果てはアリーナ・ロック調のアンセムまであったりと(⑥はARIAのカヴァー)、やや焦点が絞り切れていない印象もあり。
それでも、アグレッシブに切り込んで来る①②③の冒頭三連打、そしてラストをシャープに〆る⑨等はこのバンドが秘めたポテンシャルの高さが如実に伝わるカッコイイ出来栄えだし、チャーチ・オルガンの冷厳な音色に導かれて始まるバラード⑤が醸し出す、クラシカルで荘厳な雰囲気なんて「これぞロシアン・メタル!」と思わず膝を打つ素晴しさですよ。

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