この曲を聴け! 

Kosmonument / ORANSSI PAZUZU
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2012-02-03 21:20:18)
2011年発表の2nd。
某所で妙にプッシュされてたので買ってしまいましたが、素晴らしいですね。

路線としてはバンドサウンドに、キーボードのみならずサウンドエフェクトやインダストリアルノイズなども絡め、ARCTURUSやLIMBONIC ART、DARKSPACE等のバンドとも異なる、独特の奇妙な宇宙観を演出する、アヴァンギャルドなブラックメタル。スペースデブリの浮遊する宇宙空間の中に意識だけが浮遊し、やがて自分もその一部となっていくかのような、瞑想的な雰囲気を持った作品。

妙に太く、脈動する様が聴き手をトランスに持っていくようなベースラインと、音像を抽象的なものにするギターノイズ、効果的に用いられるサウンドエフェクトのコンボによる世界観の演出はやはり巧みで、リアルに宇宙から降り注ぐ有害な放射線を浴びながら漂ってるような感覚を覚えます。基本浮遊感のあるミディアム中心ですが、疾走パートも奇怪に歪んだ音像のせいで、異次元に真っ逆さまに落ちるような感じがありますね。

このバンド、普通の人のそれとは位相がどこかずれた視点から見たような世界観・宇宙観を持ってるのに、それを人に伝えるだけの巧みさがあるのが凄いんですよね。音像や浮遊感の演出も素晴らしいし、2曲目なんかはキャッチーと言ってもいいくらいかと。基本アトモスフェリックな展開ながら、彼らの持つ歪んだ宇宙観を象徴するような、「濃い」メロディが所々に鏤められているのも、聴き手に世界観を共有させるためのフックになってるように思います。

ただ、アンビエントな感触やミニマルな部分もあるので、メタルだけでなく瞑想的なプログレ、ポストブラックなどを聴く人の方が共感しやすい音になっているかもしれません。個人的には興味深く、心地良く聴けたし大推薦のアルバム。店のプッシュに乗っかっておいて良かったです(笑)。

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