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III Wishes / SHOOTING STAR
火薬バカ一代 ★★ (2012-03-20 07:27:59)
プロデューサーに、以降、数作に亘ってコンビを組む事となる売れっ子ロン・ネヴィソンを迎えてレコーディング、'82年に発表された3rdアルバム。
SHOOTING STARのカタログ中、最もハードな作風に仕上がっていた前作から一転、Keyサウンドを前面に打ち出して、プログレ色や南部的な泥臭いハードネスを払拭、代わりにポップな味わいが強調された本作は、例えばヴァイオリン大活躍のOPナンバー“ARE YOU READY”からさえもプログレ色や土の匂いが殆ど漂って来ないという徹底振りで、その洗練された作風はやはりロン・ネヴィソンの起用効果と言うべきか。
「ありがちなJOURNEYクローンになってしまった」「ロン・ネヴィソン許すまじ」と批判の声も少なからず上がった本作ですが、もともと彼らのメロウ・サイドに魅力を感じていた身としては、今回もまた良く出来たアルバムとして十分楽しませて貰った次第。
中でもしっとりとした哀メロに聴き惚れる“HEARTACHE”や、まるでNHKで放送されている海外ドラマの主題歌の如き爽やかさを誇る“WHERE YOU GONNA RUN”、アルバム収録曲の中では比較的ハードな仕上がりの“LET IT OUT”、分厚くスペーシーなKey主体で展開されるスケールの大きなバラード“WHOLE WORLD'S WATCHING”辺りは、メロディ愛好家ならグッとくること請け合いの名曲じゃないでしょうか。
尤も、これ!といった強力な決め手に欠くフラットな構成など、前2作と比較して弱さを感じる部分があるのも実際のところで、これはやはり本作がプログレ・ハード路線からAOR/産業ロック路線へと移行していく過渡期の産物であったからなのかな、と。
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