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As Above, So Below / ANGEL WITCH
火薬バカ一代 ★★ (2012-04-15 22:05:09)
前作『RESURRECTION』から14年ぶりに発表された5枚目のスタジオ・アルバム。ANGEL WITCHの作品とまともに対峙するのは久々なのですが、これがデビュー作と音楽性が全く変わっていなくて、最初聴いた時はちょっと笑ってしまいましたね。勿論、良い意味で。
ジョン・マーティンの宗教画(審判三部作が一篇『最後の審判』)を再びジャケット・アートワークに用いていることからも原点回帰の姿勢が明らかな本作は、RISE ABOVEのバックアップを受けレコーディングが行われたことのプラス効果か、作品全体が濃厚な英国風味によって包み込まれている。重く湿気った感触のリズム・セクションを手始めに、ロンドンの空を分厚く覆う曇天模様のごとき空気感は、リー・ドリアン人脈に連なる英国人ミュージシャン達だからこそ出しえた味ではないでしょうか。
そして何より本作のMVPは、ANGEL WITCHの中心核たるケヴィン・ヘイボーンその人。アングラ臭がプンプンと漂って来るダークで鋭角的なリフ・ワークの妙技もさることながら、とにかく「歌」が良い。上手過ぎず、下手過ぎず、絶妙な匙加減で煮え切らないメロディを拾って行くこの人の歌声は、まさしくNWOBHMの地下室的な息吹を生々しく現代に蘇らせてくれています。
特にOPナンバー①は、痒い所に手の届くGプレイと歌メロに悶絶必至、1stアルバムに収録されていた名曲群と比較しても何ら遜色のない逸品で、個人的には、これとバラード調に始まり劇的に盛り上がっていく④が聴けただけで本作購入費の元は回収出来たと思っております。(それ以外の楽曲がつまらないわけではありませんが)
ケヴィン・ヘイボーンが自信たっぷりに「1stの後に来るべき作品」と語るのも納得の力作。

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