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Sea of Light / URIAH HEEP
杉本 剛 ★★ (2008-04-10 23:29:00)
前作DIFFERENT WORLDから約4年ぶりの第21作。その間日本や韓国等アジア地域も含め、世界各国で大規模なツアーを断続的に行っていた彼らは、充実した時間を過していたのであり、決してブランクがあった訳ではない。この間に書き溜めた作品からなるアルバムが本作であり、前作のポップ・ロック志向よりずっとへヴィーな仕上りだ。緊迫感のあるランゾンのキーボードに導かれて、ボックスのへヴィーなギター・リフで始まるAGAINST THE ODDSで幕を開け、70年代黄金期をも彷彿とさせるTIME OF REVELATION、ランゾンのキーボード・センスが光るMISTRESS OF ALL TIME、ボルダーのボーカルをフィーチャーしたFEAR OF FALLING、様式美にもこだわったLOVE IN SILENCE、コーラスが美しいアコースティック・ナンバーDREAM ON等名曲が並ぶ。そしてアルバム全体に漂う哀愁感はブリティッシュ・ロックらしい空気が感じられ、素晴らしい作品となっている。また、音の輪郭がはっきりとしたサウンド・アレンジにも好感が持てる。そして'72年の「魔の饗宴」以来実に23年振りとなるロジャー・ディーンのアートワークも、アルバムの素晴らしさを更に引き立たせるのに十分な幻想的世界を表現している。90年代ヒープの最高作と言えるだけでなく、黄金期の作品群と同等の質の高さを見せ付けた作品だ。
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