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Sonic Origami / URIAH HEEP
火薬バカ一代 ★★★ (2012-06-18 07:04:09)
「折紙」という日本語の組み込まれたユニークな表題が妙に耳に残る'98年発表の19thアルバム。
前作『SEA OF LIGHT』が、ジャケットから何から確信的に70年代URIAH HEEPサウンドの再現が目論まれた傑作だったため、本作は「ラジオ・フレンドリーな楽曲作りを試みた」というミック・ボックス(G)の発言や、70分オーバーの長尺がネックとなって、リリース当時は余り素直に楽しめなかったのですが、今回この文章を書くに当たって改めてじっくりと聴き直してみたら、自分の中で評価がモリモリ急上昇。いや、良いアルバムですよね、これ。
OPを雄々しく飾る①は、G、Vo、Keyの見事な歌いっぷり、劇的な曲展開を支えるリズム隊、そして美しく重厚なボーカル・ハーモニーまで「URIAH HEEP全部入り」な掛け値なしの超名曲ですし、それを開巻の合図とする頭3曲の畳み掛け具合や、ブリティッシュHR然としたドラマ性とフックの効いた楽曲が連続する⑥~⑧の流れ、SURVIVORのジム・ピートリック提供のバラード⑪、オーケストラを導入した美しくも壮大な⑬が配置された終盤等、ハイクオリティな本編を耳にするに付け、今更ながら先のミックの「ラジオ云々~」の発言の真意が、ポップ化することや売れ線に走ることではなく「メロディやアレンジをしっかりと練る」という点にあったことに気付かされた次第。
但し、長尺が過ぎるという弱点はやはり厳然として存在しており、もう少し曲数を絞るか、もしくはアップテンポの楽曲を用意してアルバムの構成に緩急を付けた方が良かったんじゃないかなぁ、とは思うんですけどね。
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