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Alice in Chains / ALICE IN CHAINS
絶叫者ヨハネ ★★ (2006-02-24 21:14:00)
結果的に最終作になってしまったAliceの3rdは、噂どおりの怪作でした。

アルバムジャケットについては、皆さんもうご存知ですね、「検閲済み」の日本盤をお持ちの方は幸いです。輸入盤の方は……、ええ、表裏とも最悪(又は最高)です。悪趣味なのかアートなのかよくわかりませんが、とりあえず炸裂弾クラスのインパクトを与えてくれます、しかし心優しい彼女とかには見せない方が賢明です。これを見てニヤニヤしていると、何か大切なものを欠いた人間と疑われる恐れがあります。

音的なことを言えば、前作にあったカラフルなポップ色&へヴィメタルとしての重厚さとかっこよさが後退し、より乾いたアシッドな感覚になっているのですが……。まあ、音楽的なことは他の方におまかせするとして、私としては本作の音が私にもたらした「印象」について少々述べておきたいと思います。

Dirtはまだ「病的な」と、「的」で済んでいましたが、本作は本当にビョーキです、もう完全にビョーキです。しかも取り返しのつかないほど病んでおり、深く深く蝕まれてます。なにか芯の所が「腐ってしまった」、本来の適正な形から「歪んでしまった」ようなおかしな感じがあります(思えばこの時点で、すでにレインはどうしようもない状態に陥っていたのかもしれない)。

このアルバムの雰囲気についてはいかんとも形容し難いのですが
前作Dirtが「極彩色の濁流」または「異次元世界の歪んだジャングル」だったとすると、今作は……そうですね、視覚的イメージではなくより生理的な身体感覚に近く、「暗緑色に粘りつく吐き気」のような感じ、とでもいえるでしょうか。トリップ感はあるのですが、これは心地よい「酔い」ではなく「悪酔い」です。気持ちよくありません。

これではまるで音で描かれた「ブロブ」です。
(ブロブ: スライムよりさらに凶悪&汚濁度UPな、下水道汚物の塊のような怪物。ズルズル這いずり、時にゴボゴボ泡立って不快な音を発する。つまり視・聴・嗅・味・触のすべてにおいて、気が狂うほど気持ち悪いクリーチャー。たぶんこいつを考えた人は、人間の不快感覚をそのままイメージ化したんだと思う、天才。でもイマジネーションの有害使用とのそしりは免れない。)

以上あれこれ言ってきましたが、実際、このアルバムは聴くとどうにも気に入らない類の感覚を催してしまい、どうしても曲に集中することが出来なかったので、今作の音楽としての出来・不出来に関してはノーコンテスト、判断不能の作品ということにさせてください。
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