この曲を聴け! 

Rising Force / YNGWIE MALMSTEEN
火薬バカ一代 ★★★ (2012-10-21 17:06:43)
イングヴェイ・マルムスティーンが1枚看板を背負って、HR/HMシーンに打って出た記念すべき作品なれど、インスト物はあまり嗜まない身ゆえ、彼のカタログの中では比較的手が伸びる率は低め。
正確にはジェフ・スコット・ソートが歌う楽曲も2曲ほど収められてはいるのですが、どちらもイングヴェイなら片手間に書けちゃいそうな小粒な楽曲の上、今でこそ実力派シンガーとして鳴らすソートの歌声もこの頃はかなり青臭い感じで、それが印象の残らなさに拍車を掛けています。尤も、もしこのレベルの楽曲がポッと出の北欧メタル・バンドのデビュー作に収録されていたら、「期待の大型新人登場!」と大騒ぎしたに違いありませんが。
歌入りナンバーの影が薄い理由は他にもあって、その最たるものが、美旋律とネオクラシカルなドラマに彩られたインスト曲のインパクトのデカさ。現在でもライブの重要なレパートリーである“BLACK STAR”や“FAR BEYOND THE SUN”、ARCATLAZZ時代に既に披露されていた“EVIL EYE”、そしてイングヴェイが単なる速弾ギタリストではなく、立派な「アーティスト」であることを証明する“ICARUS DREAM SUITE OPUS 4”・・・細部まで徹底的に練り込まれた、これら強力無比なインストの名曲を前にすれば、そりゃ並の歌入りナンバーじゃ存在感を掻き消されちまうわな、と。
イングヴェイがインスト曲主体のアルバムを作ったのは本作が最初で最後ですが(企画盤とオーケストラとの共演は除く)、ここまでやり切っていればそれも納得です。

→同意