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Marching Out / YNGWIE MALMSTEEN
火薬バカ一代 ★★★ (2012-10-22 22:31:41)
VENOMの『WELCOME TO HELL』がSHM-CD化された際、ファンの方が「何という資源の無駄遣い」と自虐的に書いているのを読んで笑ってしまったのですが、イングヴェイ的には、さしずめこのアルバムがそれに該当する・・・のではないかと。
数年前、リマスター&SHM-CD化に釣られて本作の紙ジャケ盤を買い直したのですが、スピーカーの前にぼろいカーテンが垂らされているような筋金入りの低音質に劇的な改善は見受けられず(多少なりとも良くなってはいますが)、「やっぱ元が悪過ぎるとリマスターにも限界があるよなぁ」と溜息をついた次第。
しかし多くの方々が指摘されている通り、ここに収められた楽曲はメチャ強力。どんどん洗練されていく次作以降に比べ、全編を分厚く覆うダーク且つマイナーな雰囲気と、パワー・メタル的なササクレた攻撃性を孕んだネオクラ・チューンの数々は、いずれも甲乙付け難い名曲揃い。
取り分け、本編中盤に並べられた3曲、後にVITAL REMAINSもカヴァーした禍々しくサタニック、それでいて劇的な“DISCIPLES OF HELL”、前作では精彩を欠いたジェフ・スコット・ソートの見(聴)違えるような熱唱振りと、タイトルに相応しい勇壮な曲調に思わず荒ぶる“I AM A VIKING”、“序曲1383”から繋がりGとKeyが火花を散らす“ANGUISH AND FEAR”は、初期・北欧様式美HM路線の最高峰と言うべき至高の逸品にして、このアルバムでしか聴くことの出来ないタイプの楽曲ではないでしょうか。
音質の酷さがあってなお輝きを失わない、個人的には最高傑作と名高い3rd『TORILOGY』よりも聴き直す機会の多い1枚です。

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