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MA-G-MA / AION
失恋船長 ★★ (2012-12-03 15:36:26)
2000年くらいに知人から譲り受けたダンボール一杯のCDに紛れていた一品。AIONに限らずヴィジュアル先行のバンドは苦手で純粋に楽しめないふしがありのでその時、チラッと聴いてダンボールの底に眠るわけです(いわゆるスピード命で低音域の迫力不足と歌を前面に出しロックぽくないミックスがTHEヴィジュアル系と感じるのがダメ)個人的な偏見を吹き飛ばせない媚を売りまっくたサウンドに興味など持てるわけもない頭でっかちな自分が当時はいたわけですね。引越しして2年いまだに進まないCDの整理をしている中で、偶然見つけ久しぶりに聞いたのですが、これが実に真っ当なメタルサウンドを披露しています、コテコテの関西メタルの流れを感じさせるバタ臭さと噛み合わせの悪い日本語歌詞もカッコよく聞こえてきて全然楽しめるのです。5曲入りだしスピーディーなナンバーが目白押しだしテクニックも申し分ない、ベースもドラムも埋もれているが耳を傾けると可哀想なくらい頑張っている。インディーズだしヴィジュアル系の系譜に連ねる宿命とは言え残念極まりない。ギターもここぞとばかりにスピーディーなプレイを披露、テクニカルなソロは勿論、リフや複雑な構成を司る印象的なフレーズを紡ぎ独自の路線を進んでいる。それは日本的なパワー漲るメロディックメタルサウンドとしては申し分ない力量を感じさせるに至るのです。AIONのVo、NOBと言えばヴォルケイノでも知られる存在で二井原実ばりの特定のレンジを使い力強い歌声を披露、ヴィブラートの掛け方など特徴的だ。クセはあるが外に吐き出すのではなく内に溜め込み、自己陶酔のナルシスト系なナヨナヨしない歌唱スタイルはメタルシンガーとして十分な器量を持ち合わせ、これでダイナミックなサウンドメイクを魅せてくれたら、さぞや男前な作品になっていたでしょう。この手のバンドに僕はヴィジュアル先行、音よりも色重視、それはSAMPのコント番組を見ているような違和感を感じ笑えない。なのでこの手のバンドを聴かず嫌いにさせているのですが、このような楽曲を聴かされるとAIONはまるでTV受けしない実力派お笑い芸人のような存在だと知りました。迫力のない低音と気を抜くとズバーっと流れていく軽さ、雑なサウンドメイクと気になる面もありますが、ここで聴ける楽曲の魅力は色褪せません。器量のある実力派が選ばなければいけない時代背景が生んだヴィジュアル重視のメタルバンドを舐めてはいけないと気付かされる一枚でした。ちなみにメジャーデヴュー後のCDもありましたが、僕は馴染めませんでした。今作を聴いて何かが足りないと感じる趣もあるでしょうが国産メタルシーンも着実に盛り上がりつつある昨今だからこそ温故知新で振り返って欲しい一枚かと思います。

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