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Night of Passion / MAD MAX
火薬バカ一代 ★★ (2012-12-13 22:40:42)
MAD MAXなんて言われると、素肌に皮のベスト着込んだモヒカン頭のメンバーが、改造車にハコ乗りして「ヒャッハー!」と奇声を上げているような世紀末サウンドが思い浮かびますが(どんなサウンドだ)、本作でメイン・ソングライターを務めているのは、CASANOVAやDEMON DRIVE等の活動で名を馳せるあのマイケル・ヴォス(Vo)。ゆえに、全編に亘って重視されるのはアグレッションよりもメロディとハーモニー。
このバンドが前3作をかけて培ってきた、ドイツのバンドらしい質実剛健な正統派HMサウンドと、マイケルが新たに持ち込んだポップでメロディアスなアメリカンHRサウンドが、全く溶け合うことなく、A面とB面でそれぞれ別個に存在を主張している点がちょっと可笑しい本作。
単純に質で言えば、少々野暮ったい前者よりも、哀愁漂う⑤、爽やかで抜けの良いメロハー⑥、ゲスト参加のジョシュア・ペラヒアが特徴的な速弾きで華を添える⑦、美しいコーラスがキャッチーな⑧といった佳曲が連続する後者の方に軍配が上がりますが、ジャーマン・パワー・メタル然としたスピーディでパワフルな曲調に、マイケルのソフトで透明感を湛えた歌声が乗るというミスマッチ感がユニークな②④のような楽曲を擁する前半もまた十分味わい深い。
あ、つまり全編が聴き応え十分の力作ってことですわな。

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