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Only Human / AT VANCE
火薬バカ一代 ★★★ (2012-12-26 21:36:37)
オリバー・ハートマン(Vo)在籍時代最後の作品となってしまった'02年発表の4thアルバム。
こちらのサイトでの得票数からも明らかな通り、3rd『DRAGONCHASER』の行き詰まり感を吹き飛ばした快作として高評価を獲得している本作ですが、そのことはわざわざ音を聴くまでもなく、前作のチープなイラストとは天と地ほどにグレードに差があるアートワークを見ただけで窺い知ることが出来ます(笑)。
サシャ・ピートをプロデューサーに迎え、一層硬質に引き締まったサウンド・プロダクションはもとより、『DRAGONCHASER』で指摘されたメロディの練り込み不足も解消の方向へ向かっているようで、キャッチーな味わいが強化された②とか、勇ましくギャロップする④のような、従来にはなかったAT VANCEの新たな魅力をアピールする楽曲が収められている点も評価ポイント。
あと個人的に嬉しいのが、疾走ナンバーに北欧ネオクラ・メタル風味が戻って来ている点。ボートラ収録の⑭みたいなジャーマン・メロパワ調の疾走ナンバーもそれはそれで魅力的ではありますが、やはりダークな憂いを帯びた歌メロがコブシを効かせて走り抜ける①⑦のような楽曲こそ「AT VANCEの真骨頂!」と思うわけで。凱歌の如く高らかに響き渡る⑩、演歌ばりの泣き具合が素晴しい陰鬱なバラード⑫も最高ですね。
残念ながらこれを最後にオリバー・ハートマンはバンドを去ってしまうわけですが、その有終の美を飾るに相応しい力作に仕上がっていることがせめてもの慰めでしょうか。
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