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Dystopia / ICED EARTH
火薬バカ一代 ★★★ (2013-02-08 23:36:58)
看板シンガーのマシュー・バーロウが脱退。その後任に元INTO ETERNITYのステュウ・ブロックを迎え入れて'11年に発表された10thアルバム。
マシューのような攻撃的なシャウトから、リッパーの如きハイピッチ・スクリームに至るまで自由自在に歌いこなし、それでいて小器用さよりも、ぶっ太い芯の通ったパワフルさが強烈に印象に残るステュウの見事な歌唱を得たお陰で、マシュー不在の痛手を全く感じることなく本編に没頭できる今作ですが、やはりアルバム最大の求心力たり得ているのは、首魁ジョン・シェイファーが手掛け、唯一無二のICED EARTH印が刻印されている収録楽曲の数々。
ストーリー・アルバムを作ると、コンセプトの構築に熱心になり過ぎて肝心の楽曲がお留守になるパターンの多い彼らですが、今回はノンコンセプトなHMアルバムということもあり(映画が元ネタになっているものが多いようですが)、個々の楽曲がきっちりと練り込まれて高い完成度を提示。ここまで手応えを感じさせてくれたのは7th『THE GLORIUS BARDEN』以来じゃないかなぁ?と。
イントロだけでメタル魂が燃え上がる①、重厚な悲壮感が溢れ出す②、ブルドーザーの如き迫力で畳み掛ける③⑧、武骨さの中から滲み出す叙情性に胸を打たれる④、JUDAS PRIEST、IRON MAIDENの系譜に連なる正統派のツインGが大活躍な⑥⑦⑫・・・と、こう書いているだけで全身の血が沸き立ってくる、勇猛果敢にしてドラマティックな逸品が隙間なく陳列された本作は、なるほど「バンドの最高傑作」との議論が持ち上がるのも納得のカッコ良さです。

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