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Fireworks / ANGRA
うにぶ ★★ (2003-01-31 18:22:00)
2nd『HOLY LAND』で独自の音楽性を確立させ、このままどこまで進んでくれるだろうかと期待満々で臨んだ3rdアルバム。いざ聴いてみると、前作に見られた大胆な民族色の導入は影を潜め(随所に溶け込んでますが)、かと言って1stのようなメロスピ路線でもなし。今作では正統派メタルと、クラシックに留まらないヨーロッパ風味が大幅に取り入れられています(そっち方面あまり詳しくないので雰囲気でそう思うだけですが、なんとなく地中海風とか)。
IRON MAIDENやJUDAS PRIESTのカヴァーでわかるように、ANGRAはもともと伝統的なHMも好きなバンド。またメンバーのフリフリ衣装からも、欧州お貴族様の優雅な文化が好きなんどす、という趣味が窺われるので、これはこれで納得のいく路線です。たしかブラジルはポルトガル領だったはずだし、前作だってルネッサンス文化がコンセプトに入っていたし。
ただ期待してた方向と違ったので、最初は肩透かしを喰った気分になっちゃって、あまり好きになれませんでした。今だとこれはこれで得難い音楽性であると楽しめます。予想を裏切り、安易に前作の延長線上に進まず、常に新しい領域に目を向ける姿勢は好ましいです。
熱血メタルの(4)「METAL ICARUS」や、エモーショナルなギターソロがたまらない(7)「FIREWORKS」なんかがお気に入りです。
他にもそれまでとまた違った優雅さの(3)「LISBON」や(9)「GENTLE CHANGE」、思いっきりヘヴィ・メタルな(8)「EXTREME DREAM」、HELLOWEEN+DREAM THEATERみたいな(10)「SPEED」、アンドレの暖かい声に包みこまれる(11)「RAINY NIGHT」等、バラエティ豊かなアルバムです。ただ歌メロとかが個人的に好みから外れた曲が多いので、その辺もあまり好きになれなかった理由。いいアルバムだとは思うんですが。
あとこのアルバムから某メタル専門誌でのアンドレの評価が、「メタル界きってのカウンター・テナー」から「力んだ時の裏声が気持ち悪いヴォーカル」にいきなり変わっちゃいましたが……個人的にはアンドレは表現手法のひとつとしてああいう声を使っていると思うので、気になりません。あれは味です。上手いけど感情のあまり伝わらないヴォーカルよりはずっといいと思っています。まあそこは結局好みの問題なんですけどね。
編集長お薦めのパブロフズ・ドッグのヴォーカル(←嫌いじゃないですよ)に比べたらずっと普通じゃないかと…(ぼそ)

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