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March to the Black Holocaust / VLAD TEPES
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2013-04-18 17:58:27)
95年のBELKETREとのスプリット音源。
私は「War Funeral March」とのカップリング盤(ブート?)で聴きましたが…。

以前購入した「La Morte Luna」が、フレーズが聞き取れないようなあまりにも酷い音質で、「確かにアングラでカルトな雰囲気はあるけど、私には無理かも…」とこのバンドを見限りかけてたんですが、とんでもない思い違いでした。VLAD TEPESって偉大なバンドだったんですね…これはマジで素晴らしい。
まずフレーズの反復を楽しむ事すら困難な「La Luna Morte」と比べると段違いに音質が良いです。確かに粗い音質ではあるんですが、DARKTHRONEの3部作やSATANIC WARMASTERの初期作などプリブラの代表的な作品が聴ければ全然行けるレベルで、フレーズや楽曲の展開がしっかり楽しめます。ディスコグラフィを見ると、こっちの方が古い音源なのに…。

そうして楽曲の輪郭が露わになると、如何にこのバンドがブラックメタルとして優れたセンスを持っていたのかが良く分かりますね…。まるで初期EMPERORのような、凍てつく邪悪さを発散するリフを持った曲、アンダーグラウンドの熱気をダイレクトに伝えるオールドスクールな曲、12分を持ち前のリフセンスで聴かせるエピックな大作、フレンチブラックらしい毒々しいメロディの曲…何気にプリブラとしてはバラエティ豊かな作風ですが、どの曲も素晴らしいです。

確かに、本気度満点のヴォーカルが醸し出す危険な雰囲気、低音質、低演奏力を逆手に取った衝動性なども、カルトな支持を得る一因にはなっていると思います。しかし、それらはこの作品の魅力のほんの一部であって、楽曲自体がブラックメタルとして本当に素晴らしい事が、真にこの作品の魅力だと思うんですよね…。EMPERORの1stやMAYHEMの1st、BURZUMの3rdに通じるような、ある意味奇跡的な雰囲気を纏っていると言っても過言ではないとすら思います。ジャンルの本質を衝いているような素晴らしさだと思う。

正直、見限りかけた身としては横っ面を張り飛ばされたような衝撃を受けました。これが、Les legions Noiresの真髄か…骨の髄まで思い知らされてしまった気分。初心者厳禁、なんて野暮な事は言いません。今年Drakkarが再発盤をリリースしてますし、手に入れやすくなったと思うのでブラックが好きならば是非!例え初心者であろうと、波長が合う人なら問答無用で引き込むようなパワーは間違いなく持っているかと。

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