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The Coming / CRUXIFICTION
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2013-04-19 14:31:01)
2011年発表の1st。
これはメロブラでもかなりドラマティックな作品ですね。

基本はブラストも交えつつ緩急付けたリズムに、メロウなトレモロリフや、やや粗くノイジー気味なリフを絡ませた典型的なブラックメタルのスタイルですが、泣きメロのギターソロ(パートによってはツインリードまである)を長めにフィーチャーしたり、チャーチオルガンとバンドサウンドの絡みがあったり、アルペジオがアトモスフェリックな空間を演出したり、展開にかなり工夫が見られ、衝動性よりも構築美やドラマ性を重視した仕上がりの音。

音圧、フレーズの聴き取りやすさなど、音質面でも申し分なしで、純粋にメタルとして非常にクオリティの高い音と言えるかと。何気に刻みを利用して厚みを出すパートもかっこよかったり。トレモロなどに見られるメロディの美しさはフランス産のバンドらしさを醸し出してますが、リフのザリザリした、氷の礫が吹き付けるような感触はジャーマンブラックに通じるものがあると思う。これらの要素が上手く絡み合って、メロブラの中でも「耳に残る」音になっているように思います。

メタルとしてのクオリティの高さ、構築美を重視した曲作りから、アングライズムやカルトな空気感は感じられませんが、純粋に質の高い暗黒音楽としてはかなりお勧めできる逸品。マニアックでないブラックもそれはそれで素晴らしいですよ。

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