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Nostalgia / CLOCKWISE
火薬バカ一代 ★★★ (2013-04-29 21:33:58)
北欧メタルの魅力を凝縮した名盤『MAKING GOLD』を引っ提げて彗星のように現れたスウェーデンのFORTUNE。その中心メンバーだったベニー・スドベリ(Vo、Key)が、GLORYのヤン・グランウィック(G)らと共に立ち上げたプロジェクトのデビュー作。
FORTUNEでは流行に擦り寄った結果、現れた時と同じぐらいのスピードで人気を失ってしまったベニーですが、本作では初心に立ち返ったのか、煌く美旋律と繊細な泣きメロを満載にした、ファンの期待に応える『MAKING~』路線のサウンドを実践。
相変わらず生硬い歌唱は今ひとつですが(それでもFORTUNE時代よりは格段の進歩)、この絶品の歌メロ及び作曲センスと、楽曲を時にリリカルに、時にドラマティックに彩るKeyプレイの素晴しさが、それを補って余りありますよ。
特に、楽曲のクオリティが3曲目を過ぎた辺りから急カーブを描いて上昇。5曲目に控える“RUN THE RACE”なんて、ヤンの後期GLORYにおける変節を帳消しにするクラシカルなGプレイも相俟って「この1曲のために本作を買うんだ!」と道行く人の肩を掴んで通り魔的に力説したくなる名曲っぷり。
『MAKING~』以上の傑作か?と問われればそれはどうかとも思いますが、それでも美しいアートワークに秀逸な邦題、ツボを押さえたパフォーマンス、それに水晶細工の如き輝きを放つ収録楽曲etc・・・が取り揃えられた、数え役満級の北欧メタルの名盤であることに疑いの余地はありません。

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