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Holy Land / ANGRA
殺戮の聖典 ★★ (2006-07-25 23:05:00)
ルネッサンス時代の再来を願う想いを架空の国「ホーリー・ランド」に見立てた'96年発表のコンセプト・アルバムとなる2nd。
プロデューサーは、前作に引き続いてチャーリー・バウアーファイントとサシャ・ピート。
ドラマーがマルコ・アントゥネスからリカルド・コンフェッソーリに変わっている。
本作では、デビュー・アルバムで垣間見えた母国ブラジルのラテン・リズムや民族楽器の導入を前面に押し出すとともに、バンドのもう一つの特徴であるクラシカル・メロディと融合させており、2ndアルバムにして早くもこのバンドでなければ作りえない個性的なサウンドを生み出すことに成功している。
島への漂着を思わせるようなサウンドのイントロ「CROSSING」、エッジの利いたギター・リフがかっこいい「NOTHING TO SAY」、静と動との対比が美しくドラマティックな「SILENCE AND DISTANCE」、トライバルなブラジリアン・リズムからメロディアスなスピード・メタルへの転調が素晴らしい「CAROLINA Ⅳ」、まるでワールド・ミュージックのような「HOLY LAND」といったアルバム前半の流れが絶品。
アルバム後半も、ミステリアスなイントロの「THE SHAMAN」、マトスの伸びやかな歌唱が心に染みる「MAKE BELIEVE」、愁いのあるメロディが美しい「DEEP BLUE」、おそろしく陰鬱な気分にさせる「LULLABY FOR LUCIFER」と好曲が続くが、前半の充実ぶりと比較すると、やや興奮の度合いは落ちる。
その中でもスリリングなハイ・スピード・ナンバー「Z.I.T.O.」は、1st収録の「CARRY ON」の路線を踏襲する名曲。
バンドが結成されてから最初に作曲したというボーナス・トラック「QUEEN OF THE NIGHT」もなかなかかっこいいリフを持ったナンバーだ。
結局、このアルバムを気に入るかどうかのポイントは、ブラジリアン・リズムの大胆な導入を是と取るか否と取るかにあると思うが、個人的にはこの試みは大歓迎である。

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