この曲を聴け! 

Get Over It / MR. BIG
SCARECROW ★★ (2004-04-02 10:09:00)
そこまでMR.BIGに入れ混んでいるわけでもなかったが、発売日に購入。以来一度も通して聴いたことのなかったこのアルバムを最近聴き直してみた。意外にいい。確かにDaddy,Brother....やColorado Bulldogのようなキラーチューンは存在せず、分かりやすい曲というのもSuper Fantasticぐらい。しかしこのアルバムは一つの作品としてよくまとまっている。最初の二曲、ElectrifiedとStaticは非常にタイトなロックチューンだし、その他の楽曲もアメリカのバンドらしい良質のメロディを持っている。初め自分がこのアルバムを通して聴けなかったのは、どこか地味な印象が拭えなかったからだろうし、言ってしまえばスーパーバンドMR.BIGにファンが求める音ではないのかもしれない。これを地味ととるか、一バンドの一作品として良質のロックアルバムととるか。それは人それぞれだ。自分の場合、これ以前のMR.BIGというのは、楽曲、演奏の質は高いのに、はっきりいって一体なにがやりたいのか掴めないところがあった。サウンドの一本化というのは必ずしも良い事ではないが、アルバム全体に一本筋が通っているというのは重要な事である。ポール在籍時にはその筋というものがみえず、何かばらつきが感じられた。(別にポールが輪を乱していたと言う気は全くない。)これはテクニシャン集団のエゴや才能のぶつかり合いの結果とも取れるだろう。この作品ではそれが見事に払拭され、非常にスムーズな流れを生み出している。リッチーが新たな風を吹き込んだのは当然として、ポールの脱退により余計な力が抜けた事も確かだと思う。
ファンがスーパーミュージシャン集団であるMR.BIGに期待する音とこのアルバムのスケールとのギャップが大きかった故、このアルバムは叩かれた。更にポール・ギルバートというカリスマを失ったことも大きかった。ポール脱退が少なからずファンに「ポールのいないMR.BIGなんて。。。」という先入観を抱かせたことは間違いない。ポールにはそれだけの力があったと言う事だろう。

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