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Battle Beast / BATTLE BEAST
火薬バカ一代 ★★★ (2013-08-06 22:41:59)
「女スティーヴ・グリメット」の異名に相応しい熱唱で、当方のメタル・ハートを鷲掴みにしたニッテ・ヴァロ嬢が脱退してしまい、デビューして早々に行く手に立ち込めた暗雲を、しかし見事に雲散霧消させてみせた気迫漲る2ndアルバム。
やたら眼ぢからのあるニュー・シンガー、ノーラ・ロウヒモの艶と光沢を湛えた歌唱は、前任者のそれと比べても何ら遜色ない堂々たるもので、特に声を張り上げた際のビブラートを伴ってシャープに切れ上がるハイトーンが痺れる程イカしています。
リーダーのアントン・カバネンがウド・ダークシュナイダーばりの金切声でコーラス・パートを担当するパワフルな①、再び漫画『ベルセルク』を題材に取り上げた、エピカルな重厚感とキャッチーなノリの良さが同居した②⑨、それにシャウト一閃、殺気を撒き散らかしながら突進する⑪等、煌びやかなKeyを適宜取り入れたストロング且つしなやかな曲調と、彼女の歌いっぷりの良さが化学反応を起こした楽曲には事欠かない本作ですが、白眉はやはりPVも作られた⑫(タイトルからして“BLACK NINJA”ですからね)で決まりでしょう。
和風メロディから琴の旋律、果ては刀身の風斬音のSEまで詰め込まれた、好事家(俺)垂涎のエキゾチック・ジャパ~ンな逸品・・・と書くと珍曲の類と誤解されそうですが、これが真面目に正統派HMの名曲なんで舐められません。蠱惑的なヴァースから一転、アグレッシブな本性を剥き出しにするサビのシャウトまで、まるでクノイチが憑依したかのようなノーラ嬢の振れ幅の大きな歌唱がグレイト。
デビュー作がまぐれ当たりでなかったことを証明するに十分な力作です。

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